ディスポーザーとは?仕組みや使い方、メリット・デメリットを解説!
更新日:2023.4.28
料理をしていると必ず出てくるのが生ごみ。生ごみを放置することで色々なデメリットが生じますが、この生ごみを速やかに処理できるのがディスポーザーです。ディスポーザーはどのように生ごみを処理するのか、後から設置できるものなのか、気になる方も多いのではないでしょうか。
ディスポーザーとは何か、ディスポーザーを設置するメリット・デメリット、実際にディスポーザーをリフォームの際に設置した事例などをご紹介します。
目次
1.ディスポーザーとは
2.ディスポーザーのメリット
3.ディスポーザーのデメリット
4.ディスポーザーで流せるもの・流せないもの
5.ディスポーザーを設置するための費用や設置条件
6.ディスポーザーの設置事例
7.まとめ
1.ディスポーザーとは?
ディスポーザーは生ごみを処理する装置ですが、どのように処理を行うのか、その仕組みや使い方、お手入れ方法をご紹介します。
1-1.ディスポーザーの仕組み
ディスポーザーは中に生ごみを砕くブレードが入っており、生ごみを入れることで粉々に粉砕して、水に流す仕組みになっています。モーターが作動し、その遠心力で生ごみをぶつけることで粉々になり、下水を通じて流すことができます。現状のディスポーザーの処理能力は、台所のシンクにある三角コーナーの生ごみ1杯分を長くても1分以内で処理します。
ディスポーザーはアメリカで作られ、1927年に開発されました。当時は生ごみを砕いて下水に流すことへの批判が根強かったものの、実際に実験を行うことで下水に影響を与えないことが証明され、ディスポーザーの性能の高さがアメリカ中に知れ渡ることになります。
1-2.ディスポーザーの使い方
ディスポーザーの使い方ですが、一般的な「連続投入方式」の場合はまず水道の蛇口をひねって水を出してからディスポーザーのスイッチを押して、生ごみを入れます。この時、一気にドサッと入れるのではなく少しずつ入れていきます。粉々にしてもすぐにスイッチを止めず、多少回し続けてからスイッチを切ります。
一方、蓋がスイッチになる「バッチ・フィード式」では最初に生ごみを入れ、その後で水を出します。蓋のスイッチをセットして作動させ、粉々になったらスイッチを切ります。使い方としては特に難しくはありませんが、連続投入方式であれば少しずつ入れて、処理能力を超えないように調整することが求められます。
1-3.ディスポーザーのお手入れ方法
ほぼ毎日のように使っていると、当然ディスポーザーも汚れるほか、この後ご紹介するディスポーザーのメリットである悪臭防止が、掃除を怠ることで防ぎきれず、悪臭を放つことも考えられます。このため、定期的にお手入れをすることが求められますが、自宅にある氷を活用することでお手入れが簡単に行えます。
ディスポーザーに氷を多めに入れ、中性洗剤を入れて回すだけという簡単な方法で、氷が砕かれることで、細かな氷がディスポーザー全体に行くため、きれいになる仕組みです。また重曹やクエン酸、多少熱めのお湯を入れることで汚れが落ちるようになります。
また、ディスポーザー専用のブラシも市販されているので、このブラシを使って掃除することもできます。1週間に1回でも掃除を行っておくだけでディスポーザーのメリットの部分を保ちつつ、気持ちよく使い続けることが可能です。
2.ディスポーザーのメリット
ここ数年で一気に人気を集め、マンション購入の際にはディスポーザーの有無が購入の意欲を左右する時代。ディスポーザーにどのようなメリットがあるのかをご紹介します。
2-1.キッチンを衛生的に使用できる
ディスポーザーがない場合、生ごみを処理するために三角コーナーを設置し、そこに生ごみを入れていきます。中がいっぱいになるまでそのまま放置してしまう人も多く、いざ生ごみを捨てるという段階で、臭いも放ち、触った感触も気持ち悪いということも。
何より、生ごみがたまっているという視覚的な問題も大きく、見た目からも衛生的とは言い難いです。ディスポーザーがあればすぐに捨てられるので三角コーナーの必要がなくなり、生ごみとは無縁のキッチンとなります。シンクにも生ごみが一切なくなり、綺麗に使えるのが大きな魅力です。
2-2.ゴミ出しの量を削減できる
通常、家庭で出たごみはごみ処理場に運ばれますが、近年問題になっているのが焼却時の温度の問題。高い温度で燃やさないとダイオキシンが発生してしまうため、一定の温度以上を保つことになりますが、水分を多く含んだ生ごみが多いと温度を上げきれず、結果的に重大な問題を発生させてしまう事態を招きます。
しかも、温度を上げきれないということでそれだけ長く燃やすのに時間がかかり、その分、二酸化炭素もより多く出やすくなり、環境に悪影響を与えます。もしディスポーザーがあれば、生ごみを粉砕して下水に流すことができるため、生ごみを家庭用ごみで出さずに済み、焼却施設の負担を下げることが可能です。
SDGsという観点からも環境に優しく、ゴミの量を圧縮できるという点で大きな役割を持ちます。三角コーナーにある生ごみを処理するのは決して気持ちのいい作業ではないので、ディスポーザーの存在はもはや無視できません。
2-3.害虫の発生を防ぐことができる
生ごみは害虫の温床になりやすく、夏場などはコバエなどが飛び交い、不快感を与えます。コバエ対策の商品を買って対策を立てても対症療法に過ぎず、根本から絶つことが求められます。
ディスポーザーであれば毎日すぐに生ごみを処理できるので、コバエなど害虫の発生を防ぐことが可能です。害虫の温床となり得る生ごみを速やかに処理できるため、発生源を潰すことができます。
2-4.悪臭を防ぐことができる
生ごみは周囲に悪臭をまき散らす他、その特有の臭いはコバエなどの害虫が寄ってくる原因にもなり、とても不快な気持ちになってしまいます。生ごみをすぐに処理できれば悪臭の元がないので、その心配がなくなります。
ただ先ほどもご紹介した通り、細かな部分に生ごみが残り続ける可能性があり、それがディスポーザーからの悪臭につながることも。氷と中性洗剤を入れる方法など、ディスポーザーの掃除を定期的に行うことで悪臭を防げます。
2-5.日々の掃除が楽になる
料理をしていく中で、野菜の切れ端、皮などが出ることがあります。これが排水口に入って詰まればその詰まりを解消する作業も必要になるので非常に面倒なうえ、せっかく料理をしているのに手も汚れ、無駄な作業が発生することも考えられます。
ディスポーザーがあれば、常に生ごみを入れていけばいいので効率的な家事につながるほか、日々の掃除がとても楽になります。三角コーナー関連の掃除はしなくて済むため、負担はだいぶ軽くなるでしょう。
3.ディスポーザーのデメリット
ここまでディスポーザーのメリットについてご紹介してきましたが、次にご紹介するのはディスポーザーのデメリットについてです。
3-1.定期メンテナンスが必要
ディスポーザーを使っていく中で定期メンテナンスが必要になります。この場合の定期メンテナンスは、戸建住宅等に設置されたケースと、マンションで設置されディスポーザー専用の排水管などがあるケースとで分かれます。戸建て住宅等に設置されたディスポーザーに関しては再三ご紹介している氷を使ったメンテナンス方法などで対応できます。
マンションでディスポーザーを設置している場合は定期的に保守点検を行い、問題が発生すれば修繕や補修などの工事を行います。処理槽のメンテナンスなどが行き届かなくなると、悪臭が生じやすくなるほか、ディスポーザーを使ってもうまく流せないといった事案が生じることがあります。戸建住宅等のディスポーザーのメンテナンスはもちろんのこと、マンションの場合は処理槽などのメンテナンスを定期的に行った上で成り立ちます。
3-2.使用時に電気代と水道代が発生する
ディスポーザーを使う際、作動中は常に水を流しておく必要があり、ディスポーザーを使用する際にはモーターを動かすため、電気が欠かせません。すると当然のことながら、電気代や水道代が余計にかかることになります。特に電気代は近年高騰しており、少しでも節電を行って電気代を下げたいという昨今、電気代がかかるというのはデメリットと言えるでしょう。
ただし、この電気代や水道代はかかっても毎月1000円程度で、一般的には数百円程度で収まるとされています。毎月数百円余計に払って、生ごみを処理できるのであれば費用対効果は十分であり、雑誌1冊分で台所の清潔さが保たれると考えれば、必要経費と考える方は多いでしょう。
3-3.動作音が気になる場合もある
ディスポーザーは動かす際にどうしても音が生じます。この音に関してはディスポーザーの種類によって異なりますが、それなりの音が生じることも考えられます。仮に夜中にディスポーザーを作動させた場合、周囲に影響を及ぼす可能性もないとは言い切れません。
いわば夜中に洗濯機を動かしたり、掃除機をかけたりしたら騒音の可能性もあるからと躊躇する人が多いかもしれません。ディスポーザーの場合も洗濯機や掃除機と同じように、騒音の可能性を考慮し、使用する時間帯をよく考えないといけません。
3-4.導入時に費用が発生する
ディスポーザーを導入するには当然のことながら費用が発生します。そもそもディスポーザーは簡単に設置できるわけではなく、家庭で使う場合でも排水処理システムが必要となり、東京都に関しては設置をするために届け出が必要です。
一戸建てでディスポーザーを設置するとなると、工事費用や排水処理システムなどで費用が発生するため、初期投資がそれなりにかかります。
4.ディスポーザーで流せるもの・流せないもの
ディスポーザーは生ごみの処理を行える一方、生ごみならば何でも処理できるとは限りません。流せるもの、流せないものがそれぞれ存在するため、それぞれ知っておく必要があります。
4-1.ディスポーザーで流せるもの
ディスポーザーでは、野菜や魚、魚の骨などを流せるほか、残飯なども流すことができます。流す際には小さめに切るか、ちぎることで処理能力を落とさずに粉砕していくことが可能です。
一方、流せるけれど時間がかかるものも色々とあります。生肉など生の状態の食べ物は処理するのに時間がかかる場合があります。生肉などは弾力性があって、処理能力を落としやすく、餅なども当てはまります。
このため、生の状態にせずお湯をかけるなどして、処理しやすくすることをおすすめします。また野菜の皮なども苦戦しがちですが、野菜の皮オンリーよりも別の食べ物と一緒に処理することで対応しやすくなります。
4-2.ディスポーザーで流せないもの
一方、ディスポーザーで流せないのは、カニなどの殻や卵の殻、繊維質な野菜全般、生米など硬さがあるものはディスポーザーでは処理しきれず、故障につながる可能性もあるため、貝殻なども含めて別にまとめておく必要があるでしょう。
ディスポーザーはあくまでも生ごみを処理するための装置なので、生ごみ以外のごみを捨てるのは避けるべきです。本来下水管に流すべきものではないプラスチック製品や大量の油など、それらをディスポーザーを通じて捨てるのは絶対にやめましょう。
5.ディスポーザーを設置するための費用や設置条件
ディスポーザーを設置するためにどれくらいの費用が掛かるのか、何を用意しないといけないのか、費用面と設置条件についてご紹介します。
5-1.ディスポーザーを設置するための費用
ディスポーザーにはいくつか種類がありますが、現状設置が認められやすい排水処理システムのあるディスポーザーの設置費用をご紹介します。
処理槽を必要とするものは、処理槽の大きさによって費用が大きく異なるため、処理槽が大きなものになってしまう場合、設置費用だけで100万円を大きく超えてしまいます。一方で手ごろな処理槽となれば数十万円レベルにとどまるなど、ディスポーザー本体の費用よりも処理槽の設置費用が大きな影響を与えます。
一方で処理槽を必要とせず、シンクの下に生ごみを処理する機械を設置して生ごみの処理を行うパターンがあり、この場合は処理槽の工事費用がかからないため、設置費用にお金はさほどかかりません。しかし、ディスポーザーや生ごみを処理する機械にお金がかかるため、だいたい数十万円程度になります。とはいえ、処理槽を設置するよりは安く抑えられます。
5-2.ディスポーザーを設置するための設置条件
ディスポーザーは下水道と大きく関係するため、設置の際には自治体の許可を必要とします。そのため、許可なしに設置することはいけませんし、自治体にノーと言われてしまえば、どれだけ性能のいいディスポーザーだったとしても設置を認めてくれません。
東京23区の場合は処理槽を作るタイプやシンク下に機械を置くタイプのディスポーザーが認められており、性能基準を満たし、製品認証を受けているものが設置の対象となっています。東京23区の場合はどの製品が対象となっているのかをホームページで紹介しており、これにあるかどうかで判断します。また業者に設置を依頼する際、業者がその自治体では設置が認められているかどうかを調べて判断することになるでしょう。
6.ディスポーザーの設置事例
ここからは実際にディスポーザーを設置した事例についてご紹介します。
6-1.一人暮らしの賃貸物件に
引用元:宮惣ケミカル
コンビニのお弁当などで食事を済ませていたという1人暮らしの男性のお客様。転勤をすることになり、自炊をしようと一念発起。その中でディスポーザーを設置したいと考えるようになりました。1人暮らしの賃貸物件とあってそこまでシンクは広くないため、小型のディスポーザーが設置されます。その名はエコロジックです。
エコロジックはアメリカのコストコで販売されているもので、日本向けにアレンジされた商品です。置くスペースは最小限に、省電力モーターで電気代をかけずにしっかりと粉砕できるほか、国際品質基準をしっかりと満たしているディスポーザーです。賃貸物件でも設置ができるのが特徴で、オーナーから許可が出れば簡単に設置できるほか、取り外しも可能で、引っ越しをする際も安心です。
工事期間はわずか30分、工事費用は明らかにされていませんが、エコロジックの費用は10万円を切る値段のため、工事費用と合わせれば数十万円もしないことは確かです。
6-2.リフォームでディスポーザーの入れ替え
引用元:日本ディスポーザー協会
リフォームをするにあたり、これまでのディスポーザから入れ替えたいというお客様。入れ替える際には評判のいいディスポーザーにしたいということで、フロム工業の「YS-8100」をチョイス。枝豆の皮など粉砕するのが難しいとされた生ごみに対応するほか、自動で洗浄を行う機能などを搭載したスグレモノです。
使う水の量も大幅カットしつつ、ジェット線上でディスポーザー内部の生ごみを取ります。寿命も長く、1度交換したら長持ちすると評判です。国内製造台数ナンバー1を誇るなど、注目のディスポーザーです。メーカー小売価格は13万円ほどですが、業者によっては工事を含めて10万円未満で抑えるところもあるなど、こちらも費用が安く済みます。
6-3.経年劣化からの交換
引用元:栄田建設木材工業有限会社
築30年以上のお宅で長年ディスポーザーを使ってきたというお客様。しかし、長年使ってきたことでディスポーザーから異音が生じるようになったため、ディスポーザーの交換をしてほしいというご依頼です。
シンクの下にしっかりと収まるタイプのディスポーザーに交換し、場所をできるだけとらず、スペースの邪魔を少しでもしないようにすることに成功します。工事期間は1日で、費用は16万円です。
7.まとめ
ディスポーザーを設置するだけで掃除が簡単に行えるため、過去の調査ではディスポーザーの人気が浴室換気乾燥機や床暖房を上回るまでに至りました。それほど生活になくてはならないものになりつつあるディスポーザーですが、意外と設置は簡単で、費用もかからないことが事例でも明らかになっています。
あとは自治体で設置が認められているのか、マンション・アパートの場合は管理会社の許可を得ているかどうかを確認した上で設置してみてはいかがでしょうか。
<著者情報>
大谷 正浩
ハイウィル株式会社 本部長
1961年生まれ 東京都北区出身
大学卒業後、原宿のレディスアパレルメーカーに就職。3年目で営業売上げNo.1を獲得。
他業種での営業力を試してみたくなり、東京ガスの関連会社へ転職。建設業界でのキャリアが始まる。
建築を基本から学び、当時の上司の励ましもあり温水暖房システムTESの販売台数において、東京ガス本社営業部長賞を受賞。
その後システムキッチンの専門会社の社長より誘いを受け、初の水まわり業界へ。
システムキッチンの会社で10年の経験ののち、インテリアリフォーム会社の社長からの誘いがあり、リフォームインテリア業界へ。
2003年、ハイウィル株式会社四代目代表である稲葉と出会い、当時稲葉が設立したばかりの株式会社リブウェルに入社。
得意な水周りリフォームと木造リノベーションを担当。
現在はハイウィル株式会社にて性能向上に特化した、日本初の木造フルリノベーション&リノベーションメディア「増改築.com®︎」にて、水周り住宅設備機器や内装仕様の提案を日々行いながら、全国水まわりリフォームサービス「水周りリフォーム館」において、館長として運営を担当。全国の加盟店と共に水周りリフォームの提案、施工管理業務に従事している。
水周りリフォーム館館長として、テレビ朝日、FM東京での出演経験あり。
趣味は、モータースポーツ観戦(元A級ライセンス、40年間無事故)とハードロック鑑賞。仕事に息詰まったら、XJAPNを聞いて気合をいれている。
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