マンションのキッチンリフォームの注意点は?キッチンタイプも解説
更新日:2021.10.29
マンションのキッチンリフォームは戸建てと違い、規約や構造上の制約があります。
そのため「マンションのリフォームは難しいの?」「理想のキッチンにできるの?」と不安に感じることがあるのではないでしょうか。
そこで今回はマンションのキッチンリフォームの基礎知識と注意点を解説します。
事前にマンションの管理組合に相談すべきことや、管理規約で確認すべきことを知っておくとスムーズにリフォームが進められます。
トラブルを回避して理想のキッチンを手に入れるために、ぜひ参考にしてください。
1.マンションのキッチンリフォームの基礎知識
マンションのキッチンリフォームを検討している方は、まずはどのようなキッチンのタイプがあるか確認しましょう。
キッチンの種類は、主にI型キッチン・L型キッチン・ペニンシュラキッチン・アイランドキッチンがあります。
それぞれの特徴についてお伝えしますので、ご自身の使用シーンに合うタイプを見つけてください。
1-1. I型キッチン
I型キッチンは、ガスコンロやIHコンロなどの調理器具と調理スペース、シンクが一直線に配置されているタイプです。
省スペースで設置できるため、リビングやダイニングなどの空間が狭くならないメリットがあります。
配管工事のような追加の工事が必要ないため、リフォームにかかる期間を短縮でき、費用も抑えられます。
また、I型キッチンへのリフォームなら他のタイプと比べて早く工事が完了するため、近隣住民への影響を心配する期間も短く済むでしょう。
かかる費用の目安は、グレードによりますが70万円から100万円程度です。
1-2. L型キッチン
L字のように90度折れている形状のL字型キッチンは、二面の壁を使って配置されています。
中央に立ったときに左右に作業スペースがあるため、少ない動線で料理ができます。
効率的に進めたい方には、使い勝手のよいタイプです。
ただし、L字状になっているため、中央のコーナー部分が使いづらいデメリットがあります。
頻繁に使う調味料やお皿は置かないようにするなど、収納スペースの使い方には工夫が必要です。
また、設置にはI型キッチンよりも広いスペースが必要となるため、リビングやダイニングに圧迫感が出ないように考慮しましょう。
リフォーム費用の目安は、90万円から120万円程度です。
1-3. ペニンシュラキッチン
半島(ペニンシュラ)の形状のように、片側だけ壁について設置される対面キッチンです。
このような形状から、アイランドキッチンとI型キッチンそれぞれのメリットを兼ね揃えています。
マンションの対面キッチンの多くがペニンシュラキッチンを採用しており、人気の高いタイプといえます。
デメリットとしては収納スペースが少なくなる点です。
I型やL型キッチンでは壁に収納棚を設置しやすいですが、ペニンシュラキッチンの場合は開放感のために上部に収納スペースを確保しないことが多いです。
更に元々あるキッチンが壁を向いた配置の場合は、ペニンシュラキッチンへのリフォームではキッチン自体を移動する必要があります。
配管の位置によっては費用が高くなったり、キッチンの移動ができなかったりする場合があるため図面の確認が必須です。
リフォーム費用の目安は、100万円から120万円程度です。
1-4. アイランドキッチン
アイランドキッチンはその名の通り、島(アイランド)のように独立しているキッチンです。
対面式キッチンのひとつで、キッチンを使うときはダイニングとリビングが見渡せます。
そのため、子どもの様子を見たり、家族と会話を楽しめたりしながら料理ができます。
開放感が魅力的な一方で、キッチンが丸見えのため散らかっている部分を隠せません。
こまめな片付けや掃除ができると、アイランドキッチンならではの洗練された雰囲気を維持できるでしょう。
ただし、設置には幅・奥行ともに十分なスペースの確保が必要です。
マンションの多くが縦長の間取りのため、アイランドキッチンへのリフォームが難しい場合もあります。
リフォームにかかる費用は120万円から180万円と、他のタイプよりも高額になりやすいです。
2.マンションのキッチンリフォームの6つの注意点
戸建てと違い、マンションは部屋の面積や共有スペースの変更には制約があるため、キッチンリフォーム時には注意しなければならない点が多数あります。
注意点を確認しないと、リフォーム時には思わぬトラブルにあってしまいます。
また、理想とするキッチンへのリフォームが難しい場合も考慮して、案をいくつか用意しておくとよいでしょう。
ではマンションのキッチンリフォームの注意点を6つお伝えします。
2-1.キッチンの移動には制限がある
排水管や排気ダクトの状態によっては、キッチンの位置が移動できない可能性があります。
壁に向いているキッチンから、人気の対面式キッチンにしたいという方は多くいらっしゃるかと思います。
キッチンの移動に伴う注意点を見てみましょう。
◆排水管の勾配を確認する
キッチンの移動はシンクの位置も変わるため、排水管との位置関係も考慮しなければなりません。
排水は床下の配管を流れ、パイプスペースにある排水管を通って下階に流れ落ちていきます。
マンションの共有部分であるパイプスペースは動かせないため、キッチンを移動する場合は床下の配管工事が必要です。
しかし床下の空間が狭く、パイプスペースから離れた位置にキッチンを移動する場合は、十分な勾配が取れずに排水の流れが悪くなります。
キッチンは排水管の勾配を取れるような位置への移動を検討しましょう。
移動できるかどうかの判断は専門知識がないと難しいため、図面を見せたうえでリフォーム会社に相談すると安心ですね。
◆ダクトのルートを確認する
キッチンのレンジフードによる排気は、天井裏のダクトを通って外に出ていきます。
ダクトの出口はコンクリートで埋められているため、位置の変更は不可能です。
そのためキッチンの位置を移動する場合は、レンジフードから出口をつなぐダクトのルートを変更します。
しかし、どこでもダクトのルートを通せるわけではなく、マンションの天井にある「梁」を避けて配置しなければなりません。
キッチンの移動は、適正なダクトルートが取れるかどうか確認のうえ検討しましょう。
2-2.IHクッキングヒーターへの変更は電気容量の確認が必須
ガスコンロからIHクッキングヒーターへの変更にも注意が必要です。
マンションでは全体の電気供給量が決まっているため、1戸あたりの使用できる電気容量も定められています。
そのため、IHクッキングヒーターを導入すると電力不足になる可能性があります。
マンションの電気容量によっては、IHクッキングヒーターへの変更が難しかったり、追加で電気工事が必要になったりするため、早めに管理組合に確認・相談しましょう。
2-3.マンションの管理規約をしっかりチェック
マンションには、所有者が守らなければならないルールである「管理規約」が存在します。
規約内にはリフォームに関係する項目があり、設置できる器具や使える素材などが制限されている場合も多いため事前に確認が必要です。
例えば、多くのマンションでは下の階の住民へ生活音が響かないように「防音規定」が存在します。
希望の床材があっても、規定の基準を満たさない場合は使用できません。
時間をかけて決めた設備や素材が使えないとなると選び直さないといけないため、二度手間になってしまいます。
他にも、リフォームの工事時間や機器の搬入・組立に関係する制約もあります。
リフォーム前には、必ず管理組合から最新の管理規約を取り寄せて確認しましょう。
2-4.大型のキッチンは搬入できない場合も
マンションの場合、キッチンのサイズにより搬出・搬入ができない場合がまれにあります。
リフォームの際は古いキッチンを解体して外に出し、その後新しいキッチンを室内に入れる作業が必要です。
サイズが大きくエレベーターに入らなかったり、玄関を通らなかったりした場合、特殊な車両を手配してベランダから搬入することもあります。
その場合は搬入費用が追加でかかります。
最近のシステムキッチンの中には分解して運べるタイプもありますが、念のため搬入経路の確認は行いましょう。
2-5.水まわり工事・マンションリフォームが得意な会社を選ぶ
満足のいくマンションのキッチンリフォームをするためには、リフォーム会社選びも重要なポイントです。
リフォーム会社の中にも、分野ごとに得意不得意があります。
マンションリフォームを得意とする会社の場合、マンション独自の構造や管理組合・管理規約に詳しいため、スムーズにリフォームを進められます。
水まわりの工事が得意な会社を選ぶと、キッチンを安く仕入れできるルートをもっており、費用を抑えてリフォームが可能です。
水まわりリフォーム館は、水まわりのリフォームを得意としています。
お得なリフォームができるようにお手伝いしますので、お気軽にご相談ください。
2-6.近隣住民への配慮を忘れない
マンションは戸建てと比べると近隣同士が近いため、リフォーム時の騒音トラブルが気になります。
また、日常生活では発生しない振動や臭いなどもトラブルの原因になりかねません。
近隣住民とのトラブルを避けるためにも、事前に配慮ある対策が重要です。
周辺住民には業者が挨拶まわりをしてくれますが、ご自身でも事前に挨拶に行きましょう。
少なくとも両隣や上下、斜めの部屋には工事内容や工期、工事をする時間帯を伝えることが必要です。
工事の音や振動などはなくせませんので、丁寧に対応してお詫びの気持ちを伝えると近隣トラブルは避けられるでしょう。
3.まとめ
今回はマンションのキッチンリフォームの基礎知識と注意点を解説しました。
キッチンのタイプは主に4種類あり、使用シーンや部屋の間取りに合わせて選ぶとよいでしょう。
また、マンションは部屋の面積や共有部分の変更が難しく管理規約での制約もあるため、リフォーム前に事前に確認すべき点が多数あります。
理想とするキッチンリフォームがスムーズに進むように、マンションの管理組合への確認は早めに行いましょう。
マンションならではの注意点を把握して、満足のいくキッチンリフォームを叶えてください。
<著者情報>
大谷 正浩
ハイウィル株式会社 本部長
1961年生まれ 東京都北区出身
大学卒業後、原宿のレディスアパレルメーカーに就職。3年目で営業売上げNo.1を獲得。
他業種での営業力を試してみたくなり、東京ガスの関連会社へ転職。建設業界でのキャリアが始まる。
建築を基本から学び、当時の上司の励ましもあり温水暖房システムTESの販売台数において、東京ガス本社営業部長賞を受賞。
その後システムキッチンの専門会社の社長より誘いを受け、初の水まわり業界へ。
システムキッチンの会社で10年の経験ののち、インテリアリフォーム会社の社長からの誘いがあり、リフォームインテリア業界へ。
2003年、ハイウィル株式会社四代目代表である稲葉と出会い、当時稲葉が設立したばかりの株式会社リブウェルに入社。
得意な水周りリフォームと木造リノベーションを担当。
現在はハイウィル株式会社にて性能向上に特化した、日本初の木造フルリノベーション&リノベーションメディア「増改築.com®︎」にて、水周り住宅設備機器や内装仕様の提案を日々行いながら、全国水まわりリフォームサービス「水周りリフォーム館」において、館長として運営を担当。全国の加盟店と共に水周りリフォームの提案、施工管理業務に従事している。
水周りリフォーム館館長として、テレビ朝日、FM東京での出演経験あり。
趣味は、モータースポーツ観戦(元A級ライセンス、40年間無事故)とハードロック鑑賞。仕事に息詰まったら、XJAPNを聞いて気合をいれている。
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