介護用お風呂へのリフォーム!費用相場や事例を紹介します!
更新日:2023.1.17
歳を重ねるごとに筋力の衰えを感じることはありませんか?
たとえば「浴槽に出入りするときにバランスを崩してヒヤッとした」「段差につまずきそうになった」という経験があるかと思います。
また、ご家族に介護が必要になった時には、自分が介護者としてしっかりサポートできるか不安を抱えている人もいるでしょう。
特に昔ながらのお風呂は、転倒やヒートショックのリスクが高いので、大ケガが発生する前に対策を取りたいですよね。
そこで今回は介護用のお風呂にするリフォーム内容や、活用できる補助金制度、施工事例についてまとめました。
安心して使えるお風呂にリフォームして、自分自身も家族も今までと変わらずリラックスして入浴できるようにしましょう。
1.お風呂を介護用にリフォームする理由
まずは、お風呂を介護用にリフォームする理由について把握しましょう。
介護者や被介護者の負担の軽減のため、そして将来の備えとしてリフォームする方が増えています。
1-1.介護者の負担軽減
お風呂を介護用にリフォームすることで、介護者の負担軽減につながります。
人の入浴を手助けするのは、非常に力がいる作業です。
体を洗ったり持ち上げて浴槽に入れたりと、簡単にできることではありません。
たとえば、タイル張りの古いお風呂では補助する側にもリスクが伴います。
被介護者の体を洗う際に、硬いタイルに膝をつくとかなり負担がかかります。
また、介護者は被介護者の体重を支える必要があるため、すべりやすい床であれば両者ともに転倒してしまう可能性もあるのです。
柔らかくすべりにくい床へリフォームすれば、それだけ介護者の負担は軽減されます。
1-2.被介護者の負担軽減
被介護者の負担を軽くするためにも、介護用のお風呂が推奨されています。
高齢者や障害がある方にとっては、小さな段差でさえ乗り越えるのが困難に感じるのです。
実際につまずいて転倒してしまうと、大ケガにつながりさらに動くのが難しくなる場合も。
また、筋力が衰えて自分の体を支えられなくなれば、自由に動けずストレスを抱えてしまいます。
本人にとってできないことが増えると、精神的にも落ち込んでしまうでしょう。
段差をなくしたり手すりを設置したりするリフォームを行えば、被介護者だけでもある程度のことができるようになります。
少しでも動けるようになれば筋力の衰えを防ぐことができ、気持ちも明るくなるかもしれません。
お風呂を介護用にリフォームすれば、介護者だけでなく被介護者の負担を軽くできるのです。
1-3.介護が必要になった際の準備
介護が必要になったときに備えて、お風呂を介護用にリフォームすることもあります。
誰しも歳を取ると筋力が衰えてしまい、介護が必要になるときがくるでしょう。
そして、歳を重ねるのは被介護者だけでなく介護者も同じといえます。
今まで当たり前にできていたことができなくなるのです。
いざ介護が必要になったタイミングではなく、お互いの負担を考えて早めに準備しておくのが重要です。
2.【介護用】お風呂リフォームの内容
お風呂の介護用リフォームといっても、実際には段差をなくしたり手すりを設置したりと施工内容はさまざま。
そこでこの章では、細かいリフォーム内容をご紹介するので、どのようなお風呂にするか悩んでいる方はぜひ参考にしてみてください。
2-1.段差をなくすリフォーム
介護用のお風呂にする方法のひとつに、段差をなくすリフォームがあります。
浴室の出入口に段差がある場合は、つまずいて転倒する恐れがあるため、なるべく早急に解消しましょう。
ただし、段差をなくすと脱衣所へ水が漏れてしまう可能性があるため、防水機能を施さなければなりません。
出入口の段差をリフォームする場合は、水漏れ対策もあわせて検討する必要があります。
2-2.床材のリフォーム
床材を新しくすることも、介護者や被介護者の負担を軽くするリフォームのひとつです。
昔ながらの浴室は床がタイル張りになっていることが多く、濡れたときは滑りやすくなります。
また、タイルは硬く溝があるため、転倒したときに大ケガにつながるリスクも高いのです。
そのため、滑りづらく柔らかい床に張り替えたほうが、安心して入浴できます。
補助する際に膝立ちになることが多い介護者にとっても、タイルより柔らかい床材の方が負担はなくなるでしょう。
2-3.手すりの設置
お風呂にも手すりを設置して、安全性を高めることが可能です。
歳を取って筋力が衰えると、自分の力だけでしゃがんだり立ち上がったりするのが難しくなります。
その際、手すりがあればスムーズかつ安全に動作しやすくなるのです。
浴槽をまたぐ際も、手すりを使えば転倒の心配も少なくなります。
設置個所は浴槽の近くや出入口周辺、シャワー付近がおすすめです。
2-4.浴槽のリフォーム
安全に出入りできる浴槽に変更することも、介護用のお風呂リフォームには欠かせません。
一般的な浴槽の高さは60cm前後が多く、高齢の方にとってまたぐのは困難に感じます。
もし、無理をしてしまうと、バランスを崩して転倒してしまう恐れも。
楽に出入りできる高さは、利用する方の体格に合わせる必要があります。
たとえば、利用する方のひざ下が40cmであれば、浴槽の高さも40cm前後が望ましいです。
また、浴槽の縁が腰掛けられるくらいの広さがあれば、座った状態でゆっくり湯船に入浴できます。
浴槽リフォームを実施すれば、安全性を気にして入浴を控えていた方も、安心して湯船に浸かれますね。
2-5.バスリフトの設置
浴槽にバスリフトを設置することで、入浴介助の負担を軽減できます。
バスリフトとは電動で昇降する、椅子のようなものです。
座ったまま入浴できるので、転倒のリスクも少なく、膝や腰への負担がかかりません。
また、今まで人力で入浴の補助をしていた介護者の負担も軽くなります。
いつまでも湯船にゆったり浸かりたい、浸からせてあげたいと思っている方は導入を検討してみてください。
2-6.浴室暖房乾燥機の設置
実は浴室暖房乾燥機も、お風呂場に潜むリスクを減らすのに活躍するのです。
浴室が寒すぎるとヒートショックを起こし、大ケガをしたり最悪の場合は命を落としたりする可能性があります。
ヒートショックとは急な温度差により、血圧が大きく変動し体調不良を引き起こすことです。
たとえば、暖かい部屋から寒い浴室へ入ると体が一気に冷えて、血圧が急上昇します。
その状態で熱いシャワーを浴びたり湯船に浸かったりすると、今度は血圧が急激に下がるのです。
急な血圧の変動を繰り返すと、心臓や血管に大きな負担がかかり、めまいや立ちくらみが起きてしまいます。
そこで、ヒートショックの対策として、浴室の温度を上げることが重要です。
お風呂に入る前に浴室暖房乾燥機を付けて暖めておけば、血圧の急な変動を防げます。
3.リフォーム時に活用できる補助金
介護用のお風呂にリフォームする場合、介護保険や国、地方自治体の補助金制度を利用できます。
補助金の対象になれば費用を抑えられるので、工事を始める前に必ずチェックしておきましょう。
3-1.介護保険
介護保険は、要支援・要介護認定されている方を対象とした国の制度です。
介護用のお風呂へリフォームする場合、以下のいずれかの工事を行うと介護保険が適用されます。
・手すりの取り付け
・段差の解消
・床材の張り替え
・引き戸への変更
細かい条件や補助金額は以下を参考にしてください。
【条件】
・利用者が要支援・要介護認定を受けていて、改修を行う住宅に居住していること
・利用者が入院、福祉施設等に入居している場合は対象外
【補助金額・補助率】
利用者の所得(介護保険自己負担割)に応じて7~9割が支給され、工事費の上限は20万円です。
20万円の工事で最高18万円が給付されます。
工事費が20万円の範囲内であれば複数回に分割して利用することも可能です。
たとえば1回の改修工事が10万円で済んだ場合なら、次に10万円の改修工事を実施したときにも利用できます。
なお補助金の支給は「償還払い」といい、工事完了後に払い戻してもらう方式です。
一度、工事費用の全額を業者へ支払わなければなりませんのでご注意ください。
【さらに…】
上限20万円を使い切ってしまった場合でも、次に該当すれば再度上限20万円まで利用できる場合があります。
・要介護状態区分が3段階以上あがった場合
・転居した場合(転居先が新築の場合は認められない)
【注意点】
介護保険を利用する場合、ケアマネージャーを通して申請する必要があります。
まずは担当のケアマネージャーに介護保険を利用したい旨を伝えましょう。
まだ要支援・要介護認定を受けていない方は、お住まいの地域の役所や地域包括センターに相談してみてください。
3-2.国の補助金事業
介護保険の他にも、バリアフリー改修で利用できる国の補助金事業があります。
ここでは、介護用のお風呂リフォームで活用できる「こどもエコすまい支援事業」についてまとめました。
◆「こどもエコすまい支援事業」
制度名に「こども」と付いていますがリフォーム工事においては全世帯が対象となります。
【対象となるリフォーム工事】
いずれか必須
・開口部の断熱改修
・外壁、屋根・天井または床の断熱改修
・エコ住宅設備の設置
上記の必須工事と同時に行う場合に補助対象になる
・子育て対応改修
・防災性向上改修
・バリアフリー向上改修
・空気洗浄機能・換気機能付きエアコンの設置
・リフォーム瑕疵保険等への加入
お風呂を介護用にリフォームする場合は、必須工事と同時に行うことで補助制度を利用できます。
【条件】
・リフォーム工事着工が2023年11月8日以降であること
・補助額が合計5万円以上であること
・住宅の所有者が発注者であること
※所有者=リフォーム住宅の所有者(法人も可)、居住者または管理組合・管理組合法人
【補助金額の上限】
子育て世帯・若者夫婦世帯 | 既存住宅を購入してリフォーム | 上限60万円/1戸 |
上記以外 | 上限45万円/1戸 | |
その他の世帯 | 安心R住宅を購入してリフォーム | 上限45万円/1戸 |
上記以外 | 上限30万円/1戸 |
【注意点】
申請はリフォーム工事が完了してから施工業者が行う必要があります。
3-3.地方自治体の補助金
市町村や都道府県などの自治体も、介護用のお風呂へのリフォームで利用できる補助金制度を整えています。
補助金額やスケジュール、要件などは自治体によって異なるので、ホームページや電話で確認するのがおすすめです。
増改築.comでもリフォームで使える補助金制度の解説を行っています。
4.介護用のお風呂へのリフォーム事業
ここからは、実際に介護用のお風呂にリフォームした事例をご紹介します。
「歳を取っても安心して使えるお風呂にしたい」と考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。
4-1.手すりを取り付けて浴槽に出入りしやすくリフォーム
浴槽周辺に、2つの手すりを設置したリフォーム事例を見てみましょう。
ひとつは立ち上がったり座ったりする際に、体を支えられる手すりです。
もう一方の手すりは、浴槽をまたぐときに活用できます。
こちらの施工にかかった費用は3.3万円ほどです。
参考施工事例(パナソニック)
※リフォーム金額は当時の金額であり、現在も同じ価格とは限りませんのでご了承ください。
4-2.出入りしやすい高さの浴槽に交換
既存の浴槽は高さがあったため、またぐ際にバランスを崩して転倒する恐れがありました。
そこで出入りしやすい高さの浴槽に交換。
入浴の度にバランスを崩さないかヒヤヒヤしない浴槽になりました。
こちらの浴槽の交換にかかった工事費は40~60万円です。
参考施工事例(パナソニック)
※リフォーム金額は当時の金額であり、現在も同じ価格とは限りませんのでご了承ください。
4-3.在来工法の浴室からユニットバスへリフォーム
こちらは、在来工法の浴室からユニットバスへ交換した事例です。
ユニットバスにしたことにより、床はすべりにくくなり、段差の少ない出入口となりました。
浴槽もまたぎやすい高さになり、安心して使える浴室に仕上がっています。
リフォーム費用の目安は80~150万円です。
参考施工事例(パナソニック)
※リフォーム金額は当時の金額であり、現在も同じ価格とは限りませんのでご了承ください。
5.まとめ
今回は介護用のお風呂にするリフォーム内容や、活用できる補助金制度、施工事例についてまとめました。
お風呂をリフォームすれば、介護者と被介護者それぞれの負担が軽くなります。
手すりの設置や段差の解消と改善できる箇所はさまざまあるので、補助金制度を活用しながら安心して使えるお風呂にしていきましょう。
水周りリフォーム館でも、お風呂のリフォームを承っております。
今ある浴室に対して抱えている不安などありましたら、お気軽にご相談ください。
<著者情報>
大谷 正浩
ハイウィル株式会社 本部長
1961年生まれ 東京都北区出身
大学卒業後、原宿のレディスアパレルメーカーに就職。3年目で営業売上げNo.1を獲得。
他業種での営業力を試してみたくなり、東京ガスの関連会社へ転職。建設業界でのキャリアが始まる。
建築を基本から学び、当時の上司の励ましもあり温水暖房システムTESの販売台数において、東京ガス本社営業部長賞を受賞。
その後システムキッチンの専門会社の社長より誘いを受け、初の水まわり業界へ。
システムキッチンの会社で10年の経験ののち、インテリアリフォーム会社の社長からの誘いがあり、リフォームインテリア業界へ。
2003年、ハイウィル株式会社四代目代表である稲葉と出会い、当時稲葉が設立したばかりの株式会社リブウェルに入社。
得意な水周りリフォームと木造リノベーションを担当。
現在はハイウィル株式会社にて性能向上に特化した、日本初の木造フルリノベーション&リノベーションメディア「増改築.com®︎」にて、水周り住宅設備機器や内装仕様の提案を日々行いながら、全国水まわりリフォームサービス「水周りリフォーム館」において、館長として運営を担当。全国の加盟店と共に水周りリフォームの提案、施工管理業務に従事している。
水周りリフォーム館館長として、テレビ朝日、FM東京での出演経験あり。
趣味は、モータースポーツ観戦(元A級ライセンス、40年間無事故)とハードロック鑑賞。仕事に息詰まったら、XJAPNを聞いて気合をいれている。
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