お風呂(浴室・浴槽)の種類や形、素材などの特徴を紹介!
更新日:2023.4.21
1日の疲れを癒してくれるお風呂。お風呂にこだわりを持つ方は多く、新築する際に時間をかけてデザインなどを決めていく方も少なくありません。こだわりをもって取り組みたくなるくらいに、お風呂の種類は豊富で、形や素材などちょっとした違いで差別化を図れます。
今回は浴室や浴槽などお風呂の種類や形、素材などの特徴を中心に解説していきます。
目次
1.浴室の種類
2.浴槽の種類
3.浴槽の代表的な素材
4.お風呂をリフォームする際のポイント
5.お風呂リフォームの費用や工事日数
6.お風呂リフォームの事例
7.まとめ
1.浴室の種類
まず浴室にはどのような種類が存在するのか、浴室の種類について解説します。
1-1.在来工法
一戸建ての家で見られる檜風呂など、明らかに手が込んでいるお風呂がありますが、これらは「在来工法」と呼ばれる形で作られています。こだわりのあるお風呂を作るのに適しており、他の家にはない、自分たちだけのお風呂を作り上げるには在来工法がおすすめであり、自由度も在来工法の方が高いです。
昔ながらの手法のため、職人の力量が仕上がりに影響を与えるほか、決して力量があるとは言えない職人が手掛けた場合、何かしらのトラブルが発生する可能性もあります。また冬になると寒くなりやすいなど、築年数が経過して不便さを訴える方も多く、檜風呂にしたい!などのこだわりがない限り、わざわざ在来工法を選ぶケースは多くないでしょう。
1-2.ユニットバス(システムバス)
ユニットバスは工場で作られたパーツを組み合わせて作っていくお風呂となっています。工場で作っているので画一的なデザインになりがちですが、職人の力量は問われず、一定の知識さえあれば一定レベルの仕上がりにすることができ、お手入れもしやすく、寒さなどにも強い形にすることができます。
一方で、工場で作られている分、1センチ単位で発注することが難しいため、以前のお風呂をリフォームする際、ユニットバスにこそしたものの、さほど浴槽が大きくならないなど、デッドスペースを有効活用できないケースも出てきます。ただ、そこまでお風呂にこだわりがない方からすれば、ユニットバスにしておくのが無難であると言えるでしょう。
1-3.ハーフユニットバス
在来工法の自由さ、オーダーメイド感とユニットバスの利便性を足して2で割ったようなスタイルになっているのがハーフユニットバスです。ベースとなるのはユニットバスで、最初にユニットバスを設置し、その後、天井や壁の上部を在来工法のような形で演出していきます。
ユニットバスではあるものの、オリジナリティを出したい、こだわりを出したい場合にハーフユニットバスはおすすめです。一方でこだわりを出す分、費用もユニットバスよりはかかりやすくなるほか、メーカー側からするとハーフユニットバスの選択肢を多く作れていないため、納得のいくお風呂にできるかどうかはそのメーカーのラインナップ次第となります。
2.浴槽の種類
意外と気づかないのが浴槽の種類の多さ。それぞれにどのような特徴があるのか、まとめました。
2-1.ななめタイプ
ななめタイプは、台形のような形状になっている浴槽で、斜めにした分、その分、洗い場の広さを確保しています。足を伸ばすスペースは確保できている一方で、複数人で入るには適しておらず、親子で入りたい人からすると若干不便さを感じることも考えられます。
2-2.Sラインタイプ
Sラインタイプは、体積を減らしつつ、全身までしっかりと浸かれるようになっており、光熱費がかかりにくい浴槽です。光熱費の高騰もあってSライン型を求める方も増えており、人気を集めています。
段差があるパターンが多く、段差に腰掛けることもできるほか、見た目の美しさもあるため、様々な要素を兼ねている浴槽と言えます。
2-3.ワイドタイプ
ワイドタイプはストレートタイプと並んで、ポピュラーなタイプの浴槽で、主に家族向けの浴槽です。これはワイドと名がつくように、浴槽が広がっているので複数人で入っても圧迫感が感じにくくなるほか、1人で入る場合にはよりノビノビとできるというメリットがあります。
ただ、ワイドタイプは一般的な浴槽よりも若干奥行きがあるので、お風呂のスペースが十分に確保されていないと設置できない可能性があるため、広さが限られているケースでは選択肢から外さざるを得ない場合もあります。
2-4.アーチタイプ
アーチタイプは浴槽のフチの部分が細くなっているタイプで、フチが細い分、つかみやすいので転倒防止にもつながりやすくなっており、お子さんや高齢者の方が入浴する際に安心です。また見た目がかっこいいので、お風呂をスマートにしたい人にもおすすめです。
2-5.ストレートタイプ
ストレートタイプは、最もポピュラーなタイプの浴槽です。肩までしっかりと入浴できるように設計されており、深さも確保されています。一般的なタイプであり、昔から多くあるタイプです。
一方で、浴槽としてどうしてもサイズが大きくなりやすく、結果的に熱が奪われやすくなるというデメリットもあるため、そこがネックになります。
2-6.コーナータイプ
コーナータイプはお風呂場の四隅に設置できるタイプの浴槽です。形状が扇のようになっているので、長方形の浴槽よりも場所を使わずに済み、身体を洗うスペースをより広くとることができます。
2-7.たまご型タイプ
たまご型タイプは文字通り形状がたまご型になっている浴槽です。見た目も柔らかさがあり、ストレートタイプに感じられる無機質さが、たまご型タイプにはさほど見られません。機能性よりも見た目にこだわりを持ちたい人におすすめです。
3.浴槽の代表的な素材
次にご紹介するのが浴槽の素材です。素材の特徴と素材ごとのおおまかな値段の違いについてご紹介します。
3-1.FRP
FRPは繊維強化プラスチックを意味しており、水泳を行うプールなどにも用いられています。とても軽く、扱いやすいため、現在の浴槽の多くはFRPで作られています。汚れやすい、傷つきやすいというデメリットこそありますが、何と言っても値段の安さが魅力的です。
安いものでは5万円で設置できるケースもあり、高くても30万円台とリーズナブルなので、定期的に交換するとしても交換しやすく、デメリットを十分にカバーできます。
3-2.人造大理石
人造大理石は文字通り人の手で作られた大理石です。大理石ならではの色合いを持ちつつ、その素材はFRPなのでFRPの良さを兼ねており、普通のFRPの浴槽よりもおしゃれにしたい場合におすすめです。
値段ですが、FRP系であれば10万円程度から購入でき、高くても40万円ぐらいと普通のFRPより数万円高い程度となります。一方でより大理石っぽさを再現し、汚れの落ちやすさなどのメリットがあるアクリル系だと100万円を超えるケースが出てくるなど、同じ人造大理石でも大きな違いが見られます。
3-3.木製
檜風呂を代表する木製は、木製ならではの温かみ、木の香り、そして、旅館やホテルにあってもおかしくないような雰囲気も相まって、根強い人気を誇り、お風呂をこだわりたい人にとっての憧れでもあります。
何の木を使っているかで値段は大きく変わり、安いものなら20万円程度から80万円程度で済みますが、檜風呂の場合は値段が高くなり、安くても30万円程度、高いと100万円を超えてしまいます。メンテナンスが必要になる点など、お手入れに苦労するのがデメリットです。
3-4.ステンレス
ステンレスは保温しやすく、錆びにくさに特徴があります。傷つきにくいのも魅力的であるとともに、昔からある浴槽の素材なのでなじみ深いという点も見られます。ただ最大の特徴はその値段の安さです。
FRPよりもケタ違いに安く、2万円程度しかしないものもあるほか、高くても30万円ぐらいとお手頃です。ステンレスなので肌触りの問題があり、苦手にする人がいるのも事実です。ステンレスの肌触りは特に問題ない、とにかく安いもので構わないという人におすすめです。
3-5.ホーロー
ホーローは金属にガラス質の物質を塗って焼き付けた浴槽で、お風呂以外にも食器など色々なものに用いられています。ポットにも使われているだけあって、保温性に優れており、サビなどにも強いです。ただガラス質の物質で覆っている兼ね合いで、うっかり物を落として傷つけてしまう可能性があるので注意が必要です。
浴槽自体は10万円を切るものがある一方、100万円を超えるようなものもあります。そして、ホーロー自体が重いため、耐えられるように基礎を強化しなければならず、工事に費用がかかってしまう恐れがあります。
4.お風呂をリフォームする際のポイント
お風呂をリフォームする際にはどのような点に気を付ければいいのか、気になるポイントをまとめました。
4-1.安全性の高い浴室にする
お風呂場は無防備になりやすい一方で事故が起こりやすく、滑って転倒する可能性が家の中でかなり高くなります。また温度差によるヒートショックの問題もあり、お風呂場で命を落とすケースが毎年報告されており、いかに危険性を排除し、安全性を確保できるかがリフォームで求められます。
ヒートショック対策や転倒防止対策など各メーカーはしっかりと力を入れており、安全性の高い浴室を目指しています。リフォームの際には予算の都合を考慮しつつも、いかに安全な浴室を目指すかを心がけるほか、特にお子さんや高齢者の方がいる家庭では細心の注意を払うことをおすすめします。
4-2.お手入れが簡単な浴槽にする
お風呂掃除は結構面倒な作業であり、誰が作業を行うかでケンカになったり、誰かに押し付けられて不満がたまったりすることも見られます。特にお風呂にこだわればこだわるほど、お手入れは大変になりやすく、それが相当な負担になることもあるでしょう。もしも簡単なお手入れで済む浴槽があれば、負担は軽くできます。
各メーカーではお手入れが簡単な浴槽を様々な出しており、汚れが付着するのを防ぐ浴槽などが登場しています。日々のお手入れを考慮してリフォームに挑むのも大切な考え方と言えます。
4-3.節水・省エネを実現できるお風呂にする
円安や海外情勢の影響で燃料費が高騰し、光熱費に直結するケースがここ数年で問題となっています。節水を心がけ、追い焚きなどをせずに済む浴槽を導入すれば、光熱費の高騰を自分たちの努力である程度抑えることができます。長期的な視点に立ち、節水・省エネが可能なお風呂に切り替えることも重要です。
浴槽に関しては各メーカーがそれぞれ熱が逃げにくい浴槽にしており、フタをしていれば数時間程度なら追い焚きをしなくても済む状態になっています。節水を意識した浴槽も少なくなく、光熱費にお金をかけたくない人は検討して損はない要素です。
5.お風呂リフォームの費用や工事日数
お風呂のリフォームを行うのに費用や日数はどれくらいかかるものなのか、それぞれ解説します。
5-1.お風呂リフォームの工事費用
お風呂リフォームの工事費用はだいたい50万円から100万円の範囲のケースが目立ちますが、50万円より安いケースよりも100万円を超えるケースの方が高く、50万円以内に抑えるのはなかなか大変で、場合によっては100万円以上の工事費用になってしまうケースが多いです。
工事費用はどのような工事を行うかで値段が大きく異なり、例えば、ユニットバスの交換で済む場合は50万円から100万円といった価格帯で収まることが多く、浴槽だけを交換する場合には50万円より安く済むことも珍しくありません。一方で、在来工法からユニットバスへなど、大きく変えざるを得ない場合には100万円を超えるような工事になる可能性が出てきます。
特に在来工法の場合は解体する際に基礎に問題がある場合、シロアリで浸食していた場合など、工事をしてから問題が発覚するケースも見られ、想定より高くなるケースもあることから、業者選びがとても重要となります。
5-2.お風呂リフォームをする際の工事日数
お風呂リフォームでかかる工事日数も浴槽の交換程度であれば1日程度の工期で済みますが、ユニットバスを交換する場合には4日程度かかり、在来工法からユニットバスへのリフォームであれば1週間程度かかります。
一方で在来工法から別の在来工法へリフォームを行う場合は基礎工事など行うべきことが多く、2週間かかるケースもあれば、1カ月ほどかかってしまうことも。築年数が経過すると基礎部分が弱っていることもあり、追加で工事を要する場合もあるため、予定していた工期よりも多少延びる可能性が出てきます。
6.お風呂リフォームの事例
ここからは実際に行われたお風呂リフォームの事例について、ご紹介します。
6-1.新しく買った中古物件のお風呂リフォーム
中古物件を購入し、住み替えを行う前に在来工法からユニットバスへのリフォームを行いたいというお客様。お客様自らが高齢になろうかというタイミングで、ヒートショックなどを懸念し、温かいお風呂、ユニットバスへのリフォームを要望。リフォーム前は当時ポピュラーなステンレスの浴槽でした。
リフォームの際にはTOTOの「マンションリモデルバスWG」を採用し、TOTOのユニットバスの特徴である「ほっカラリ床」、「魔法瓶浴槽」などお客様の要望である温かいお風呂を強力に支える装備を搭載。浴室の中も明るくなり、リフォームによって大きな変化を感じることができます。工事費用は税込79万円、工事期間は4日間です。
施工事例はこちら▼▼
※リフォーム金額は当時の金額であり、現在も同じ価格とは限りませんのでご了承ください。
6-2.広々としたお風呂に
築年数40年、在来工法のお風呂ということもあってとても寒いと不便に感じていたお客様。ステンレスの浴槽も交換して、温かいお風呂になることを願っていました。給湯器がある家なので給湯器の交換を行う一方、大きな窓があるためリフォーム前の浴槽の位置でユニットバス交換を行うとレイアウトがおかしくなるということで、浴槽の位置もチェンジ。
結果的にお風呂がとても広々とした状態になり、お客様も掃除がかなり楽になったと喜びの声。同時に脱衣所のリフォームも行い、お風呂場への段差もなくなり、より利用しやすくなっています。脱衣所のリフォームもあったことで工事費用は120万円となり、工事期間は7日間でした。
施工事例はこちら▼▼
※リフォーム金額は当時の金額であり、現在も同じ価格とは限りませんのでご了承ください。
6-3.人造大理石の浴槽へ
元々あったお風呂の水栓を交換しようとしたところ、結構な値段がかかると知り、ならばお風呂のリフォームをした方がいいのではないかと考えたお客様。採用したのはTOTO「サザナ」で、ベースをブラックにした浴室になりました。黒の浴槽は汚れが目立ちやすいとされていますが、人造大理石の浴槽なので汚れが落ちやすく、黒い浴槽でも問題ありません。
人造大理石にすることで高級感を感じさせる浴室になったか、洗面化粧台の交換も行い、98万円で済んだため、お客様も大満足。工事期間も4日間と平均的な工期でまとまりました。
施工事例はこちら▼▼
※リフォーム金額は当時の金額であり、現在も同じ価格とは限りませんのでご了承ください。
7.まとめ
浴室や浴槽の種類は豊富にあるため、こだわりを出そうと思えばいくらでも反映できることは間違いありません。日々利用し、お手入れなどを行うだけでなく、予算の事も考えてリフォームを行うことになりますが、納得のいくリフォームにするには、ショールームに足繁く通って、いいと思ったユニットバスなどを見つけることがおすすめです。
こだわりを優先するのか、機能性を優先するのか、どのような判断を下すにしても浴槽や浴室などの情報を多く集めて、複数の業者と相見積もりを行うことが大切です。
<著者情報>
大谷 正浩
ハイウィル株式会社 本部長
1961年生まれ 東京都北区出身
大学卒業後、原宿のレディスアパレルメーカーに就職。3年目で営業売上げNo.1を獲得。
他業種での営業力を試してみたくなり、東京ガスの関連会社へ転職。建設業界でのキャリアが始まる。
建築を基本から学び、当時の上司の励ましもあり温水暖房システムTESの販売台数において、東京ガス本社営業部長賞を受賞。
その後システムキッチンの専門会社の社長より誘いを受け、初の水まわり業界へ。
システムキッチンの会社で10年の経験ののち、インテリアリフォーム会社の社長からの誘いがあり、リフォームインテリア業界へ。
2003年、ハイウィル株式会社四代目代表である稲葉と出会い、当時稲葉が設立したばかりの株式会社リブウェルに入社。
得意な水周りリフォームと木造リノベーションを担当。
現在はハイウィル株式会社にて性能向上に特化した、日本初の木造フルリノベーション&リノベーションメディア「増改築.com®︎」にて、水周り住宅設備機器や内装仕様の提案を日々行いながら、全国水まわりリフォームサービス「水周りリフォーム館」において、館長として運営を担当。全国の加盟店と共に水周りリフォームの提案、施工管理業務に従事している。
水周りリフォーム館館長として、テレビ朝日、FM東京での出演経験あり。
趣味は、モータースポーツ観戦(元A級ライセンス、40年間無事故)とハードロック鑑賞。仕事に息詰まったら、XJAPNを聞いて気合をいれている。
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