第1章：【お悩み別】メーカー比較の罠と「本質」の見抜き方

多くの方が抱えるお風呂リフォームのお悩みは、突き詰めると「掃除」と「寒さ」の2つに集約されます。 まずは、この2大テーマにおけるメーカー比較の「罠」と「本質」を解説します。

よくある悩み(1)「とにかく掃除をラクにしたい」

カビ、水垢、排水溝のヌメリ…。お風呂掃除は本当に重労働です。この悩みを解決するために、各メーカーは様々な「お掃除ラクラク機能」を開発しています。

各社の「お掃除機能」比較

• TOTO: 「床ワイパー洗浄（きれい除菌水）」「おそうじ浴槽」など、ボタン一つで「自動洗浄」してくれる機能が豊富。

• LIXIL: 浴槽の汚れを防ぐ「アクアフィール」、排水溝のゴミをまとめる「くるりんポイ排水口」、冷たさを感じにくい「キレイサーモフロア」など。

• パナソニック: 汚れや水垢がつきにくい有機ガラス系人造大理石「スゴピカ素材」を浴槽やカウンターに採用。

これらを見ると、「自動洗浄機能が多いTOTOが一番ラクそう」と感じるかもしれません。しかし、ここに「罠」があります。

ショールームでは教えてくれない「機能」の落とし穴

第一に、「自動洗浄機能」は当然ながらオプションであり、費用が数十万円単位で跳ね上がります。 第二に、自動洗浄機能自体にもフィルター掃除など、最低限のメンテナンスは必要です。 第三に、最も見落としがちなのが、**「多機能」＝「掃除するパーツや凹凸（おうとつ）が増える」**という側面です。

シャワーヘッド、カウンター、棚、水栓…。高機能でデザイン性が高いほど、パーツは複雑になりがちです。「結局、掃除が大変なのは変わらなかった」という声も少なくありません。

では、「掃除」の本質的な解決策はどこにあるのでしょうか。

本質的な解決策：タカラスタンダード「ホーロー」という選択肢

もし、あなたが「自動機能」に頼るのではなく、「そもそも汚れがつきにくく、落としやすい『素材』」を求めるなら、私たちはタカラスタンダードを強く推奨します。

その理由は、タカラだけが採用している**「高品位ホーロー」**という独自素材にあります。

ホーローとは、金属の表面にガラス質を焼き付けた素材のこと。「頑丈さ（金属）」と「美しさ・清掃性（ガラス）」を両立させています。

■ ホーローの圧倒的なメリット

1. 汚れが染み込まない: 表面がガラス質なので、カビやニオイの原因菌、油汚れなどが素材に染み込みません。ショールームでは、油性ペンで書いた文字が水拭きだけで落ちるデモンストレーションを見ることができます。

2. カビが根を張れない: カビの根が入り込む隙間がないため、表面に乗っているだけ。掃除が圧倒的にラクになります。

3. 傷がつきにくい: 非常に硬い素材のため、ワイヤーブラシで擦っても傷がつきにくい耐久性を持ちます。

「マグネット収納」が掃除にもたらす革命的メリット

そして、ホーローがもたらす最大のメリットが**「壁のどこにでもマグネットが使える」**ことです。

お風呂掃除で最も厄介な「ヌメリ」は、どこで発生するでしょうか？ そう、シャンプーボトルや洗顔フォームを置く「カウンター」や「棚」、そして「床の隅」です。

タカラのお風呂は、壁自体がマグネット対応のホーローパネルでできています。 これにより、市販のマグネット式フックや棚を使って、シャンプー類、石鹸、掃除用具、子どものオモチャまで、すべてを「壁に浮かせて」収納できます。

「カウンターや棚を一切設置しない」という選択すら可能なのです。

床や棚に何も置かない状態を実現できれば、ヌメリの発生源そのものを断つことができます。これは、他のメーカーの「自動洗浄機能」とは全く異なるアプローチの、「掃除のしやすさ」の本質的な解決策と言えます。

まとめ：あなたが求める「ラクさ」はどれ？

• 自動機能（TOTOなど）: 費用はかかるが、ボタン一つで掃除の手間を減らしたい。

• 素材の強さ（タカラ）: 初期費用を抑えつつ、汚れにくく掃除しやすい「素材」と「浮かせる収納」で、根本的にカビやヌメリを防ぎたい。

どちらがあなたのライフスタイルに合っているか、ぜひこの視点で比較してみてください。

よくある悩み(2)「とにかく暖かいお風呂にしたい」

冬場のヒヤリとする床、凍える脱衣所…。ヒートショックの不安もあり、「暖かさ」は最優先事項です。

各社の「暖かさ」アピールポイント

• TOTO: 畳のような柔らかさと断熱性を持つ**「ほっカラリ床」**。一歩目の「ヒヤッ」をなくすことを追求しています。

• LIXIL: 浴槽のお湯を冷めにくくする**「サーモバスS（高断熱浴槽）」**。

• タカラ: 床の素材自体に熱が伝わりやすい陶器タイル**「キープクリーンフロア」**。

ここで多くの方が悩むのが、「TOTOの『ほっカラリ床』と、タカラの『キープクリーンフロア』、どっちが本当に暖かいの？」という疑問です。

比較の罠：「ヒヤッとしない」vs「すぐ温まる」

この2つは、「暖かさ」へのアプローチが全く異なります。

• TOTO「ほっカラリ床」: 床材自体が断熱性を持つため、お湯をかける前から**「ヒヤッとしない（しにくい）」**のが特徴です。柔らかい踏み心地も人気です。

• タカラ「キープクリーンフロア」: 素材は陶器タイルなので、冬場に一歩目を踏めば最初は「ヒヤッ」とします。しかし、熱伝導率が非常に高いため、シャワーのお湯をかけると**「すぐ（数秒で）温まる」**のが特徴です。

「一歩目のヒヤッ」をなくしたいならTOTO。「お湯をかければすぐ暖かくなる」頑丈な素材がいいならタカラ。 一見、これは「好みの問題」のように思えます。

…しかし、ここにこそ、**9割の素人が陥る、お風呂リフォーム最大の「罠」**が隠されているのです。

なぜ、これだけでは「寒いまま」なのか？

少し考えてみてください。 あなたが今、本当に困っている「寒さ」とは何でしょうか？

「床が一瞬ヒヤッとすること」でしょうか？ それとも、**「脱衣所に入った瞬間から空気が冷たい」「浴室のドアを開けると冷気が流れ込んでくる」「いくらお湯を張っても、空間全体がスースーして寒い」**ことではないでしょうか？

もし、お風呂場や脱衣所の空間全体が「外気と同じくらい寒い」状態だとしたら…

どれだけ高性能な「ほっカラリ床」も、その冷たい空気に晒され続ければ、やがては冷たくなってしまいます。 どれだけ「すぐ温まる」タカラの床も、シャワーを止めた瞬間に、壁や窓から侵入する冷気で冷やされてしまいます。

寒い本当の原因は、「床材の性能」ではないのです。 原因は、あなたの家の**「壁の中」「床下」「天井裏」「窓」に無数に存在する隙間**から、暖房の熱が逃げ、冷たい外気が侵入していることにあるのです。

この根本原因を放置したまま、目に見えるユニットバス（製品）だけを入れ替えても、 「最新のお風呂にしたのに、なんだか寒いまま…」 という、最悪の失敗に直結してしまうのです。

第2章：9割の素人が失敗する「メーカー選び」最大の罠

メーカー比較の罠が見えてきたところで、いよいよ本題です。 なぜ、知識ゼロの私たちが、この「寒いまま」という失敗を繰り返してしまうのでしょうか。

失敗の本質：「製品（ユニットバス）」しか見ていない

その理由は、私たち消費者も、そして残念ながら多くのリフォーム会社も、「お風呂リフォーム＝ユニットバスという製品の入れ替え」としか考えていないからです。

ショールームに行けば、「製品」の機能説明ばかり。 リフォーム会社の営業マンも、「製品」の割引率や「工事費込み」の価格の話ばかり。

「古い家（中古住宅）だから、寒いのは仕方ないですよ」 「断熱材は、壁に詰められるだけ詰めておきますね」

そんな言葉で片付けられ、寒さの根本原因である「家の隙間」という**「目に見えない中身」**の問題は、誰からも指摘されないまま、壁紙やパネルでキレイに覆い隠されてしまいます。

これこそが、業界の不都合な真実であり、あなたの「失敗」の正体です。

解決策：「工事（ゾーン断熱）」とセットで考える

では、どうすればいいのか。 答えは、私たちが提唱する**「ゾーン断熱」**という考え方にあります。

これは、「製品（メーカー）」の話ではありません。 ユニットバスを設置する空間の「見えない中身」をどう作り変えるか、という**「工事」**の話です。

「ゾーン断熱」とは何か？

「ゾーン断熱」とは、家全体ではなく、寒さが最も危険なエリア（＝ヒートショックが起きる場所）、つまり**「浴室、脱衣所、洗面所、場合によっては隣接する廊下」までを一つの「ゾーン」として捉え**、その空間全体を高性能な断熱材で隙間なく包み込む工事のことです。

具体的には、ユニットバスを設置する前に、以下の「見えない部分」に徹底的に手を入れる工事を行います。

1. 壁の中: 外壁に面した壁を解体し、高性能な断熱材を充填します。最も重要なのは、冷気の通り道となる隙間を徹底的に塞ぐ**「気流止め」**という専門的な施工を行うことです。

2. 床下: 床下からの冷気をシャットアウトするため、床下にも断熱材を隙間なく施工します。

3. 天井裏: 天井裏からの冷気も防ぎます。

4. 窓: 最も熱が逃げやすい窓は、断熱性の高い「樹脂サッシ」や「内窓」に交換します。

空間全体を「魔法瓶」にする

「ゾーン断熱」とは、例えるなら、浴室・脱衣所空間を「魔法瓶」のように作り変える工事です。

この「魔法瓶（＝ゾーン断熱工事）」をしっかり作った上で、 その中に、あなたの好きなメーカーの最新ユニットバス（＝製品）を設置する。

この順番こそが、失敗しないための絶対的な鉄則です。

「魔法瓶」で空間全体が暖かく保たれていれば、 TOTOの「ほっカラリ床」は、その性能を100%発揮し、本当に「ヒヤッとしない」快適な床であり続けます。 タカラの「キープクリーンフロア」も、空間の暖かさで、お湯をかける前から「ヒヤッ」としにくくなります。

そして何より、浴室と脱衣所の「温度差」が限りなくゼロに近づき、ヒートショックの根本的なリスクを解消することができるのです。

なぜリフォーム会社は「ゾーン断熱」を勧めないのか？

「そんなに大事なら、なぜ他の会社は勧めてくれないの？」 そう思われるかもしれません。理由は主に3つあります。

1. 「見えない中身」で、説明が面倒だから: 完成すれば見えなくなる「気流止め」や「断熱材の施工精度」の重要性を、知識ゼロのお客様に理解してもらうのは大変な手間がかかります。ピカピカの「製品」を売るほうが簡単です。

2. 見積もりが高くなり、失注を恐れるから: 当然ながら、「ゾーン断熱」は壁や床を解体する大掛かりな工事です。通常の「製品入れ替え」に比べ、見積もり金額が上がります。他社との価格競争（相見積もり）で不利になるため、あえて提案しないのです。

3. そもそも、その専門知識がないから: 最も深刻なのが、この「ゾーン断熱」や、前回記事（ヒートショック対策と結露）で解説したような「内部結露」を防ぐための専門知識や技術を、リフォーム会社自身が持っていないケースです。

私たちハイウィルが「見えない中身」にこだわる理由

私たち「水周りリフォーム館」は、こうした業界の常識に真っ向から異を唱えます。

なぜなら、私たちの哲学が**「“住まいづくりは、生き方づくり”」「見えなくなる、壁や床の、中身こそが、最も重要である」**という点にあるからです。（戦略設計書 第2章）

私たちは、TOTOやタカラの「製品を売る」会社ではありません。 「ゾーン断熱」という誠実な「工事」を通じて、お客様の「寒い」「危険だ」という不安を根本から解消し、ご家族が健康で快適に暮らせる「生き方」そのものをご提案する会社です。

だからこそ、私たちは「見えない中身」の話を、お客様がご理解いただけるまで、何度でも誠実にご説明します。

第3章：知識ゼロでも安心！「ゾーン断熱」の費用と進め方

「ゾーン断熱の重要性は分かった。でも、結局いくらかかるの？」 「そんな大掛かりな工事、予算が不安…」

当然の疑問です。費用についても、包み隠さずお話しします。

気になる費用：「ゾーン断熱」はいくらかかるのか？

まず、一般的なお風呂リフォーム（ユニットバスの入れ替えのみ）の費用相場は、選ぶ製品のグレードにもよりますが、おおよそ100万円～150万円程度です。

これに対し、「ゾーン断熱」をしっかりと施工する場合、 この入れ替え費用にプラスして、「数十万円 ～ 100万円」程度の追加費用がかかります。

「やっぱり、そんなにかかるのか…」 「プラス100万円は高すぎる…」

そう思われたかもしれません。 しかし、この金額が、あなたの「失敗」を回避し、「10年後、20年後の健康と安心」を手に入れるための、本当の投資額なのです。

なぜ「数十万～100万」と費用に幅があるのか？

「数十万で済む家と、100万かかる家の違いは？」 これは、私たちが「現地見積もり」を必須としている理由そのものです。

家の状況によって、工事の規模が全く異なるからです。

• 家の構造: 昔ながらの「在来工法（タイル貼り）」のお風呂か、すでに「ユニットバス」が入っているか。戸建てかマンションか。

• 解体の範囲: 浴室の壁・床・天井だけを断熱すれば良いか、それとも寒さの原因が脱衣所や廊下にまで及んでおり、そこまで解体・断熱する必要があるか。

• 家の状態: 解体してみたら、想定以上に隙間だらけだったり、土台が湿気で傷んでいたりする場合、その補修も必要になります。

こうした「見えない中身」の状態を診断して初めて、正確な「魔法瓶」を作るための費用が算出できるのです。

予算が厳しい場合、どう考えるべきか？（松竹梅の提案）

私たちは、ご予算が厳しいお客様に対して、「松竹梅」のプランをご提案することも可能です。 しかし、その際、**「どのプランを選べば、どのレベルの暖かさが手に入り、何を諦めることになるのか」**を、誠実に、明確にご説明します。

• 梅プラン（製品入れ替えのみ）

  • 内容：ゾーン断熱は行わず、ユニットバスの入れ替えだけを行う。

  • 結果：**寒さの根本解決はできません。**見た目はキレイになりますが、「寒いまま」という失敗のリスクは残ります。「我慢」を継続することになります。

• 竹プラン（浴室のみ断熱）

  • 内容：脱衣所は触らず、ユニットバスを設置する「浴室空間」の壁・床・天井のみ断熱する。

  • 結果：浴室内の保温性は高まります。しかし、脱衣所との「温度差」は残るため、ヒートショックのリスクは解消しきれません。

• 松プラン（ゾーン断熱）

  • 内容：浴室＋脱衣所の壁・床・天井を一体で断熱し、窓も交換する。

  • 結果：空間全体が「魔法瓶」化されます。浴室と脱衣所の温度差が最小になり、ヒートショックのリスクを根本から解消できます。

私たちは、お客様のご予算を無視して「松プラン」を押し付けることはありません。 しかし、「梅プラン」や「竹プラン」では、あなたの「寒い」という悩みが解決しない可能性を、知った上で隠すことは、私たちの「誠実さ」に反します。

私たちは、なぜ「松プラン」が必要なのか、その価値をプロとしてご説明し、最終的な判断はお客様に委ねます。

結論：あなたの「失敗したくない」に、私たちはどう応えるか

ここまでお読みいただき、ありがとうございました。 メーカー比較の「罠」と、「製品」選びの前に「工事」を考える重要性をご理解いただけたと思います。

メーカー選びに戻る：結局、どのメーカーがいいのか？

では、改めて「どのメーカーを選ぶべきか？」という最初の質問にお答えします。

答えは： 『ゾーン断熱』という「完璧な魔法瓶（工事）」を行うことを前提とするならば、どのメーカーを選んでも「暖かさ」で大失敗することはなくなります。

空間全体が暖かいのですから、どのメーカーの床材を選んでも「寒いまま」にはなりません。

その上で、初めて「好み」や「付加機能」で選ぶフェーズに移ることができます。

• 「完璧な魔法瓶」の中で、さらに「一歩目の感触（柔らかさ）」を優先したい。 → TOTOの「ほっカラリ床」

• 「完璧な魔法瓶」の中で、「掃除のしやすさ（ホーロー素材とマグネット収納）」を最優先したい。 → タカラスタンダード

• 「完璧な魔法瓶」の中で、「デザイン性」や「自動洗浄機能」を優先したい。 → LIXILやパナソニック、TOTOのハイグレードモデル

これが、プロの視点に立った、本当に失敗しないメーカーの選び方です。

まずやるべきは「メーカーのショールーム巡り」ではない

もしあなたが、今、「知識ゼロ」で不安を抱えているのなら。 まずやるべきは、ショールームで「製品」の機能に惑わされることではありません。

まずやるべきは、あなたの家の「寒さの本当の原因」がどこにあるのかを診断してくれる、私たちのような「ゾーン断熱（工事）」の専門家に相談することです。

私たちは、あなたの家の「見えない中身」を診断し、 「なぜ寒いのか？」 「どこを塞げば暖かくなるのか？」 「そのためには、いくらかかるのか？」 を、誠実にご説明します。

最後のメッセージ

あなたが本当に怖いのは、「高いお金を払うこと」以上に、「知識がないまま契約し、後悔すること」「騙されること」ではないでしょうか。

私たちは、その不安に「誠実さ」と「透明性」で応えます。 この記事で「ゾーン断熱」の重要性に気づかれたあなたは、もはや「失敗する素人」ではありません。

「我が家の場合は、一体どうすればいいのか？」 「松竹梅で言うと、うちはどれに当てはまるのか？」

そう思われた方は、ぜひ一度、「水周りリフォーム館」の無料相談（オンライン・お電話）までお問い合わせください。

私たちは、他の会社が決して語らない「見えない壁の中」の話を、喜んでさせていただきます。なぜなら、それこそが、あなたの「失敗したくない」という思いに応える、唯一の道だと知っているからです。