【リクシル対クリナップ!】キッチンリフォームで後悔しないための価格帯別(リシェル/セントロ・ノクト/ステディア・シエラS/ラクエラ)徹底比較ガイド
初回投稿日2025年11月5日
💬 はじめに:なぜ今、キッチンリフォームで「リクシル」と「クリナップ」が選われるのか?
こんにちは。「水周りリフォーム館」のリフォームアドバイザー、刈田です。 キッチンは、ご家族の健康とコミュニケーションを育む、まさに住まいの「心臓部」です。
リフォームを検討される40代から70代のお客様から、私たちは日々、切実なご相談をいただきます。 「20年使ったキッチン、いよいよ交換だけど、何を選べばいいかわからない」 「掃除が大変。今度のキッチンこそ、とにかく手入れが楽なものがいい」 「LDK全体をおしゃれにしたい。キッチンだけ浮いてしまうのは嫌だ」
これからの暮らしの質を左右する重要な選択だからこそ、絶対に失敗したくない。そのお気持ち、痛いほどわかります。
数あるキッチンメーカーの中でも、国内で圧倒的なシェアを誇り、リフォームの選択肢として必ず挙がるのが「リクシル(LIXIL)」と「クリナップ(Cleanup)」です。
この2社、似ているようで、その「思想」はまったく異なります。
- リクシルは、キッチン、窓、ドア、インテリア建材まで手がける「総合住生活企業」。LDK空間全体をデザインし、トレンドを先取りする革新的な機能と、幅広い選択肢が魅力です。
- クリナップは、創業から一貫して「厨房(キッチン)」を追求する専門メーカー。プロの厨房から受け継がれるステンレス技術と、日々の使い勝手を追求する質実剛健な姿勢が強みです。
この記事では、不動産とリフォームのプロである私の視点から、この2大メーカーの主要シリーズを「高級」「中級」「普及」の3つの価格帯に分け、それぞれの特徴、メリット・デメリットを徹底的に比較検討します。
単なるカタログ情報の受け売りではありません。 「どのようなご家族に、どのシリーズが最適なのか」 「プロはどこを見て、お客様に何をアドバイスするのか」 という具体的な視点を盛り込みました。
この記事を読み終える頃には、皆様がご自身の暮らしに最適なキッチンを選ぶための、確かな「モノサシ」が手に入っているはずです。
第1章:比較の前に知っておきたい!キッチン選びの「絶対的モノサシ」
第2章:【高級価格帯】究極の選択 ― リクシル「リシェルSI」 vs クリナップ「セントロ」
第3章:【中級価格帯】各社の真価が問われる ― リクシル「ノクト」 vs クリナップ「ステディア」
第4章:【普及価格帯】コスパ最強はどれだ? ― リクシル「シエラS」 vs クリナップ「ラクエラ」
第5章:リフォームのプロと見極める! あなたの「正解」を見つける最終チェック
おわりに:キッチンは、これからの暮らしを映す「鏡」です
よくある質問(Q&A)
この記事の執筆者・監修者
第1章:比較の前に知っておきたい!キッチン選びの「絶対的モノサシ」
ショールームに行く前に、まずはご自身の「モノサシ」を確立しましょう。「なんとなく素敵だったから」で高額な契約を結んでしまうと、10年後に必ず後悔します。価格はもちろん重要ですが、それだけで選ぶのはリフォーム失敗の典型的なパターンです。
1:メーカーの「思想」を知る:リクシルの総合力 vs クリナップの厨房愛
なぜこの2社が比較されるのか。それは、お客様がキッチンに求める「二大価値」をそれぞれが代表しているからです。ここでは、両社の思想の違いを表で比較します。
| 比較軸 | ⬛ リクシル(LIXIL) | ⬛ クリナップ(Cleanup) |
|---|---|---|
| 企業姿勢 | 総合住生活企業 | 厨房(キッチン)専門メーカー |
| 強み | 空間提案力(LDK全体をデザイン) 革新性・トレンド感 | 専門性(ステンレス技術) 実用性・耐久性 |
| キーワード | デザイン、調和、最新機能、 インテリア、セラミック | ステンレス、清掃性、耐久性、 質実剛健、厨房 |
| 得意分野 | LDK全体のリフォームで、 統一感のある空間を作ること。 | キッチン単体として、 「道具」の品質を追求すること。 |
2:価格帯(グレード)で何が変わるのか?
「高いキッチンと安いキッチン、結局なにが違うの?」というご質問に、明確にお答えします。価格帯によって「素材の質」「機能」「デザインの自由度」が具体的にどう変わるのか、以下の表をご覧ください。
| 比較軸 | 💎 高級価格帯 (リシェル / セントロ) | ✨ 中級価格帯 (ノクト / ステディア) | ⭐ 普及価格帯 (シエラS / ラクエラ) |
|---|---|---|---|
| ① 素材の質 | 天板: セラミック、高品位ステンレス 扉: 天然木、高品位塗装、セラミック調 本体: 木製、または最高級ステンレス | 天板: 高品位な人工大理石、ステンレス 扉: 高品質シート、塗装 本体: 木製、またはステンレス | 天板: ステンレス、人工大理石 扉: シート貼り 本体: 木製 |
| ② 機能 | 最新機能が「標準搭載」 (静音シンク、高機能収納、 高機能レンジフードなど) | 上位機種の機能が「オプション」で選択可能。 メーカーの特色が出る機能が標準搭載。 | 基本機能(引き出し収納など)が中心。 一部機能はオプションで追加可能。 |
| ③ デザイン | 自由度MAX ・扉カラー、取っ手の種類が膨大 ・ミリ単位のサイズオーダー対応可 | 自由度 高 ・人気のトレンドカラーが中心 ・選べる取っ手の種類も豊富 | 自由度 中 ・厳選された人気カラーが中心 ・選べるデザインは限定的 |
3:あなたは何を最優先しますか? 失敗しないための優先順位チェックリスト
比較を見る前に、ご自身がキッチンに何を求めているか、以下の5つのうち、どれを最も重視するか考えてみてください。
(1)デザイン・インテリア性
- LDK全体の調和、キッチンの見た目の美しさが何よりも重要。
- 来客時に「素敵なキッチンね」と言われたい。
- → リクシル(特にリシェル、ノクト)やクリナップ(ラクエラ)が有力候補です。
(2)清掃性・手入れのしやすさ
- 面倒な掃除はできるだけしたくない。シンクやレンジフードの手入れが簡単なものがいい。
- → クリナップ(ステディア、セントロ)が持つ「自動洗浄」機能や「流レールシンク」が光ります。
(3)耐久性・衛生面
- 一度リフォームしたら20年以上、長く使いたい。
- カビや害虫、ニオイがこもるのが絶対に嫌だ。
- → クリナップ(ステディア、セントロ)の「ステンレスキャビネット」が圧倒的に有利です。
(4)収納力と機能性(調理効率)
- 調理器具や食器が多く、賢く収納したい。
- 調理中の動線をスムーズにし、料理の効率を上げたい。
- → リクシル(リシェル、ノクト)の「らくパッと収納」や「Wサポートシンク」が強みを発揮します。
(5)コストパフォーマンス
- 予算は限られているが、できるだけ満足度の高いものを選びたい。
- 基本的な機能がしっかりしていれば、余計な装飾は不要。
- → リクシル(シエラS)やクリナップ(ラクエラ)の比較が中心になります。
ご自身の優先順位は決まりましたか? それでは、この「モノサシ」を持って、実際のシリーズ比較を見ていきましょう。
第2章:【高級価格帯】究極の選択 ― リクシル「リシェルSI」 vs クリナップ「セントロ」
各メーカーが持つ技術と美意識のすべてを注ぎ込んだ、フラッグシップ(旗艦)モデル対決です。価格帯の目安は150万円~(本体定価)と高額になりますが、それに見合う圧倒的な素材感と機能性が得られます。ここは「何を所有する喜びとするか」が問われる領域です。
1:リクシル「リシェルSI」― “料理を愛する人のための” 美しき高機能キッチン
リシェルSIは、キッチンを「LDKの主役」として捉え、デザインと機能を高次元で融合させたモデルです。特に東京近郊のデザイン感度の高いお客様、新築同様のフルリノベーションをされる方に絶大な人気を誇ります。
- 最大の特徴:「セラミックトップ」 リシェルを象徴するのが、このセラミック製ワークトップです。高熱のフライパンを直置きしても、まな板なしで食材を切っても(※推奨はされません)傷一つつかないほどの圧倒的な「強度」と「耐熱性」。そして、焼き物ならではの高級感あふれる「美しさ」。この天板に憧れてリシェルを選ぶ方が後を絶ちません。
セラミックトップ
注目の機能:「らくパッと収納」と「Wサポートシンク」 デザインだけではありません。リクシルの人間工学に基づいた収納「らくパッと収納」は、テコの原理を応用し、軽く引くだけで扉が傾きながら開くため、最小限の動きで奥のものまで取り出せます。 また「Wサポートシンク」は、シンク内の2段のレーンを使い、下ごしらえから片付けまでをシンク内で完結できる高機能シンクです。調理効率を重視する方に最適です。
らくパッと収納
Wサポートシンク
- 空間デザイン力 扉材にもセラミック調の素材や、重厚感のある塗装、天然木など、インテリアとしての価値が非常に高いラインナップが揃います。LDK全体をモダンでホテルライクな空間に仕上げたい場合、リシェルは最高の選択肢となります。
【リシェルSIはこんな方におすすめ】
- LDKのデザイン性を何よりも最優先する方。
- 天板(ワークトップ)の美しさと、傷や熱に負けない「強さ」に妥協したくない方。
- 最新の収納機能やシンク機能を積極的に取り入れ、調理のストレスを極限まで減らしたい方。
2:クリナップ「セントロ」― “人生を愉しむための” ステンレスの城
対するセントロは、クリナップの「厨房哲学」の集大成です。見た目の華やかさよりも、プロの道具が持つ「本物の素材感」と「機能美」を愛する方に深く刺さるモデルです。
- 最大の特徴:「ステンレスキャビネット」と「クラフツマンデッキシンク」 セントロは、目に見えないキャビネットの「構造体」まで、最高級のステンレス(18-8ステンレス)で組み上げられています。これは衛生面、耐久性において木製キャビネットの追随を許しません。 そして、クリナップの真骨頂が、天板からシンクまで職人の手仕事でシームレス(継ぎ目なく)に溶接・研磨された「クラフツマンデッキシンク」。この滑らかな一体成型は、汚れが溜まる隙間を一切作らないという、清掃性への執念とも言えるこだわりです。
- 注目の機能:「流レールシンク」と「ハイブリッドコンロ」 シンク内も、水路(レール)を設けることで、野菜くずや泡が自然に排水口へ流れていく「流レールシンク」の最上位版を搭載。 また、ガスとIHを組み合わせた「ハイブリッドコンロ(Dual Chef)」を選べるのもセントロならでは。高火力と繊細な温度管理を使い分けたい料理上級者にはたまらない選択肢です。
流レールシンク
ハイブリッドコンロ(Dual Chef)
- 選べる天板の幅 面白いことに、セントロもリクシルと同様の「セラミックトップ」を選択可能です。しかし、セントロの本質はあくまでステンレス。ステンレス天板にも、バイブレーション仕上げなど、プロの厨房を思わせるマニアックな選択肢が揃っています。
【セントロはこんな方におすすめ】
- 本物の素材感、特にステンレスの機能美を愛する方。
- プロの厨房のような質実剛健さ、衛生面、圧倒的な耐久性(一生モノ)を求める方。
- シンクの使い勝手や、継ぎ目のない清掃性に徹底的にこだわりたい方。
3:【高級価格帯まとめ】美観と革新性の「リシェル」 vs 本質と耐久性の「セントロ」
どちらも素晴らしいキッチンですが、選ぶ基準は明確です。
- 空間の「顔」としての美しさ、革新的な機能性、トレンド感を重視するなら → 「リシェルSI」
- キッチンの「道具」としての本質(耐久性・衛生面)、ステンレスの質感を愛するなら → 「セントロ」
リフォームアドバイザーの視点では、LDK全体をリノベーションし、家具や内装とトータルコーディネートする場合は「リシェル」が空間をまとめやすく、一方で「キッチンは料理をするための城。道具として徹底的にこだわりたい」というお客様には「セントロ」のステンレスの質感が響くケースが多いです。
第3章:【中級価格帯】各社の真価が問われる ― リクシル「ノクト」 vs クリナップ「ステディア」
キッチンリフォームで最も多く選ばれ、各社の競争が最も激しいボリュームゾーンです。上位機種の優れた機能を受け継ぎつつ、コストとのバランスが追求されており、各メーカーの「思想」が色濃く反映されます。
1:リクシル「ノクト」― “暮らしに調和する” デザイン重視のキッチン
2022年に人気モデル「アレスタ」からモデルチェンジした、リクシルの現行主力商品です。リシェルの持つ高いデザイン性を、より多くの方に届けることを目指しています。
- 最大の特徴:圧倒的なデザインの幅と「LDK調和」 ノクトの最大の武器は「デザイン」です。リシェル譲りの洗練された扉カラーが非常に豊富で、特に「ラフソーンシリーズ」に代表されるトレンド感のある木目調や、石目調、マットな単色など、LDKのインテリアに合わせることを徹底的に意識しています。 また、「キッチンテーブル」や「周辺収納」も同デザインで揃えることができ、「魅せるキッチン」を演出しやすいのが特徴です。
- 注目の機能:上位機種から「選べる」オプション群 ノクトは、リシェルで人気の高機能(例:「Wサポートシンク」や「よごれんフード」など)を、オプションとして柔軟に選択できるのが強みです。キャビネット本体は木製ですが、シンクやコンロ、収納は自分のこだわりに応じてグレードアップできます。
- キャビネット キャビネット本体は標準的な木製(パーティクルボード)です。耐久性や衛生面ではステンレスに劣りますが、コストを抑えつつ、デザインの選択肢を広げることに貢献しています。
【ノクトはこんな方におすすめ】
- コストは抑えたいが、LDK全体のデザイン性やインテリアとの調和には妥協したくない方。
- 扉の色や取っ手のデザインにこだわり、自分好みのおしゃれなキッチンを作りたい方。
- 必要な機能だけをオプションで選び、賢くカスタマイズを楽しみたい方。
2:クリナップ「ステディア」― “見えない部分にこそ価値がある” 隠れた高機能キッチン
対するステディアは、クリナップの「哲学」が詰まった、まさに「隠れた名機」です。デザインも洗練されていますが、その真価は「見えない部分」にあります。
- 最大の特徴:中級価格帯で「ステンレスエコキャビネット」を標準搭載 これがステディアを選ぶ最大の理由です。高級価格帯のセントロと同様、キャビネットの「骨組み」がステンレスでできています。 湿気がこもりやすく、カビやニオイの温床となりがちなキッチンにおいて、ステンレスキャビネットが標準であることの価値は計り知れません。耐久性、衛生面、清掃性において、同価格帯の木製キャビネット(ノクト含む)を圧倒します。
- 注目の機能:「流レールシンク」と「洗エールレンジフード」 クリナップ自慢の「流レールシンク」も標準搭載(素材はステンレス/人工大理石から選べます)。 さらに、オプションで選べる「洗エールレンジフード」は、ボタン一つでお湯を自動噴射し、フィルターとファンを丸ごと自動洗浄してくれる驚異の機能です。10年間ファン掃除が不要(※)と言われており、掃除の手間を極限まで減らしたい共働きのご家庭などから絶大な支持を得ています。 (※「不要」は「自動洗浄」を指し、整流板などの日常的な拭き掃除は必要です)
- 収納の工夫 収納内部もステンレス。さらに、シンク下の「ツールポケット」や、引き出し内の「フォローパレット」など、デッドスペースを活かす実用的な収納の工夫が光ります。
【ステディアはこんな方におすすめ】
- デザインも大事だが、それ以上に「清潔さ」「耐久性」「手入れのしやすさ」を重視する方。
- 目に見えないキャビネット内部の素材(カビ・ニオイ対策)にこそ、価値を感じる方。
- 「洗エールレンジフード」など、日々の家事を助けてくれる「お助け機能」が欲しい方。
ステディアはプロがおすすめしたい住宅設備キッチン部門で4年連続 総合1位を獲得しています。
※リフォーム営業マン・プランナーが選ぶ設備建材 リフォーム大賞2025 リフォーム産業新聞調べ 調査期間:2025年3月24日~4月25日
3:【中級価格帯まとめ】デザインの「ノクト」 vs 衛生の「ステディア」
リフォームアドバイザーとして、ここは最も悩ましく、腕の見せ所となる比較です。
- LDKのインテリアコーディネートを最優先し、トレンドのデザインを選ぶなら → 「ノクト」
- 10年後、20年後の清潔さ・耐久性・掃除の手間(ランニングコスト)を重視するなら → 「ステディア」
「ノクト」はデザインという「目に見える価値」に、「ステディア」はステンレスという「目に見えない価値」に、それぞれメーカーの思想が最も強く表れています。
【プロの視点】 最近の傾向として、リクシル(ノクト)は扉デザインの更新サイクルが比較的早く、トレンドを敏感に反映させている印象です。一方でクリナップ(ステディア)は、一度導入した「流レールシンク」や「ステンレスキャビネット」といった核となる機能を長く継続しています。差し詰め流行のリクシルと歴史のクリナップというところでしょうか。
第4章:【普及価格帯】コスパ最強はどれだ? ― リクシル「シエラS」 vs クリナップ「ラクエラ」
リフォーム費用を賢く抑えたい方、セカンドキッチンや賃貸物件にも選ばれる価格帯です。しかし、「安かろう悪かろう」だったのは昔の話。近年の普及価格帯は非常に進化しており、10年~15年前の中級グレードを凌駕するほどの基本性能を備えています。
1:リクシル「シエラS」― “シンプルに、賢く” 上位機種のDNAを持つ優等生
シエラSは、リクシルのキッチンラインナップの基盤を支える、最もスタンダードなモデルです。「SIERRA S」の「S」は、Support(サポート)、Simple(シンプル)、Style(スタイル)などを意味し、その名の通り、バランスの取れた優等生です。
- 最大の特徴:シンプルさと機能の「良いとこ取り」 デザインは非常にシンプルですが、上位機種(ノクトやリシェル)で培われた「使いやすさの基本設計」をしっかりと受け継いでいます。 例えば、シンクは「スキットシンク」という、排水口や水切りカゴの使い勝手を高めたものが標準。収納も、ひと昔前の「開き扉」ではなく、奥までしっかり使える「引き出し式」が基本です。
- 注目の機能:驚きの「オプション対応力」 シエラSの凄いところは、普及価格帯でありながら、オプションで「ハンズフリー水栓」や、掃除の楽な「よごれんフード」、さらには「食器洗い乾燥機」まで搭載できる点です。 つまり、「デザインはシンプルで良いから、水栓や食洗機だけはグレードアップしたい」という、コスト意識の高い方のニーズにピンポイントで応えられます。
- コストパフォーマンス 基本的な機能がしっかり押さえられており、リクシルブランドの安心感もありながら、価格は最もリーズナブル。リフォーム会社としても提案しやすい、まさに「王道」のモデルです。
【シエラSはこんな方におすすめ】
- 機能やデザインに強いこだわりはないが、基本的な使いやすさと清掃性はしっかり確保したい方。
- 「リクシル」ブランドの安心感を、最もリーズナブルな価格で手に入れたい方。
- 食洗機や高機能水栓など、一部の機能だけをピンポイントでこだわりたい方。
2:クリナップ「ラクエラ」― “キッチンを家具のように” デザインで選ぶコスパ機
対するラクエラは、シエラSとはまったく異なるアプローチで普及価格帯のトップを狙うモデルです。クリナップの哲学である「ステンレス」はキャビネットには採用せず(木製です)、代わりに「デザイン」に全振りしています。
- 最大の特徴:「家具を選ぶように、キッチンを選ぶ」というコンセプト ラクエラの最大の武器は、普及価格帯とは思えない「扉デザインの豊富さ」です。 特に「カフェウッドシリーズ」や「ラスティシリーズ」など、ヴィンテージ調やアンティーク調の木目デザインは非常に人気が高く、「このデザインが好きだから」という理由でラクエラが選ばれることも少なくありません。
- 注目の機能:デザイン重視の割り切り 機能面はシエラSと比べるとシンプルです。シンクも標準的な形状で、「流レールシンク」ではありません(オプションで「美サイレントシンク」などは選べます)。 しかし、クリナップらしくワークトップは「ステンレス」が基本(人工大理石も選択可)となっており、最低限のこだわりは感じられます。ラクエラは「機能は最小限で良いから、見た目を安っぽくしたくない」というニーズに応えるモデルです。
- インテリア性 取っ手のデザインも、アイアン調やアンティーク調など、扉のデザインに合わせて選べるため、キッチンを「LDKのインテリアの一部」として、家具のようにコーディネートしたい方に最適です。
【ラクエラはこんな方におすすめ】
- とにかく予算を抑えたいが、安っぽい見た目は絶対に嫌だという方。
- キッチンの機能性よりも、空間のアクセントとなる「デザイン」や「扉の色」を最重視する方。
- カフェ風やヴィンテージ風のインテリアでLDKを統一したい方。
3:【普及価格帯まとめ】機能バランスの「シエラS」 vs デザイン特化の「ラクエラ」
同じ普及価格帯でも、思想は真逆です。
- デザインはシンプルで良いので、シンクの使い勝手やオプションの幅など「基本機能」のバランスを重視するなら → 「シエラS」
- 機能は最小限で良いので、とにかく「見た目のおしゃれさ」と「低コスト」を両立させたいなら → 「ラクエラ」
【プロの視点:不確かな情報】 この価格帯は、リフォーム会社にとって最も販売数が多いボリュームゾーンです。そのため、会社によっては特定モデル(特にシエラS)をメーカーから大量仕入れすることで、特別な割引価格を設定しているケースがあります。同じ商品でも、どの会社に頼むかで総額が大きく変わる可能性があるため、相見積もりが特に有効になります。
第5章:リフォームのプロと見極める! あなたの「正解」を見つける最終チェック
各シリーズの特徴が見えてきたところで、最後に「あなた自身」の暮らしと照らし合わせる作業が不可欠です。私たちが、お客様との打ち合わせで必ず確認するポイントを伝授します。
1:【価格帯別】リクシル vs クリナップ 比較一覧表
ここまで紹介した6シリーズの「強み」「弱み」「向いている人」をひと目でわかる一覧表にまとめました。ご自身の優先順位と照らし合わせてみてください。
| 価格帯 | メーカー | シリーズ名 | 最大の特徴(強み) | 弱み・注意点 | こんな方におすすめ |
|---|---|---|---|---|---|
| 💎 高級 | リクシル | リシェルSI | セラミックトップの美観と強度。 革新的な収納(らくパッと)。 | 価格が最も高い。 キャビネットは木製。 | デザインと機能性に一切妥協したくない。 LDKをホテルライクに仕上げたい。 |
| 💎 高級 | クリナップ | セントロ | ステンレスキャビネット(最高級)。 シームレスなステンレスシンク。 | 価格が高い。 デザインが質実剛健(プロ仕様)。 | 衛生面・耐久性を極めたい。 本物の素材感(ステンレス)が好き。 |
| ✨ 中級 | リクシル | ノクト | デザインの豊富さ(トレンド感)。 上位機種の機能をオプションで選べる。 | キャビネットは木製。 機能はオプション次第で価格上昇。 | LDKのインテリアと調和させたい。 デザイン重視だがコストも抑えたい。 |
| ✨ 中級 | クリナップ | ステディア | ステンレスキャビネット標準搭載。 流レールシンク、洗エールレンジフード。 | ノクトに比べデザインの幅は限定的。 (木製に比べ)初期費用はやや高め。 | 掃除の手間を減らしたい。 見えない部分の衛生・耐久性を重視。 |
| ⭐ 普及 | リクシル | シエラS | 機能バランスとオプションの幅。 圧倒的なコストパフォーマンス。 | デザインはシンプル。 キャビネットは木製。 | コスパ重視。 基本機能がしっかりしていれば良い。 |
| ⭐ 普及 | クリナップ | ラクエラ | デザイン・扉カラーの豊富さ。 家具のようなインテリア性。 | 機能はシンプル。 キャビネットは木製。 | コスパ重視。 機能より見た目のおしゃれさを優先。 |
2:ショールームで絶対に確認すべき5つのコト
カタログやWebだけで決めるのは危険です。必ずショールームで実物を確認してください。その際、プロがチェックするポイントをお教えします。
- 「高さ」と「奥行き」を体感する
- ワークトップの高さ(目安:身長÷2+5cm)は本当に自分に合っていますか? 低すぎると腰を痛め、高すぎると腕が疲れます。
- 吊戸棚の高さは? 奥まで手が届きますか?
- 奥行き(60cmか65cmか)の違いも体感してください。
- 「シンク」の現実を見る
- 自宅で一番よく使う「鍋」や「フライパン」が入るかイメージしてください。
- 「Wサポートシンク」や「流レールシンク」は、本当に自分の調理スタイルに合うか? 逆に、その機能があることで狭く感じないか?
- 「収納」を“全部”開閉してみる
- 引き出しの重さ、開閉のスムーズさを体感してください。
- リクシルの「らくパッと収納」は本当に楽か?
- クリナップの「ツールポケット」は便利そうか?
- 一番下の「足元収納」まで、実際にしゃがんで開けてみてください。
- 「素材」の手触りと“光”
- セラミック、ステンレス、人工大理石。それぞれの「手触り」を確かめてください。
- 扉材は、照明の「下」と「日陰」で見え方が変わります。小さなサンプルではなく、大きな面で色味を確認してください。
- 「清掃性」のリアルを“継ぎ目”で見る
- プロは表面ではなく「継ぎ目」を見ます。
- ワークトップとシンクの「隙間」はどう処理されていますか?
- レンジフードの「整流板」は外しやすそうですか? フィルターの形状は?
- 「掃除が面倒くさそう」と感じる箇所を、アドバイザーに遠慮なく質問してください。
3:水周りリフォーム館にご相談いただくメリット
リフォームの成功は「モノ選び」半分、「パートナー(業者)選び」半分です。私たち「水周りリフォーム館」にご相談いただくメリットは、まさにその「パートナー」としての専門性にあります。
- 中立的な比較提案が可能です 私たちは特定メーカーの専属ではありません。リクシルもクリナップも(もちろんTOTOやパナソニックも)知り尽くしたプロとして、お客様の優先順位(モノサシ)に基づき、各社のメリット・デメリットを客観的に比較し、最適なプランをご提案します。
- 「現場」を知る施工力があります カタログスペックだけでなく、私たちは日々「現場」で既存キッチンの解体や設置工事を行っています。「このマンションの梁だと、このレンジフードは入らない」「この戸建ての床下配管だと、この機能は追加費用がかかる」など、現場を知るからこその現実的なアドバイスが可能です。
- 「総額」での最適化と「補助金」の知識 キッチン本体の価格だけでなく、解体・設置工事費、内装費、そして補助金の活用まで含めた「総額」での資金計画をご提示します。特に東京都や各区市町村の助成金は、知識があるかどうかで数十万円の差が出ることも。私たちはそれら最新情報にも精通しています。
おわりに:キッチンは、これからの暮らしを映す「鏡」です
リクシルとクリナップ。 空間全体のデザイン性と革新性を取るか、厨房としての本質的な耐久性と衛生性を取るか。
どちらが優れているか、ではありません。 お客様が「これからキッチンでどう過ごしたいか」という価値観そのものを、映し出す「鏡」なのです。
私たち水周りリフォーム館は、その大切な選択に寄り添い、専門家として、また人生の良きアドバイザーとして、お客様が10年後、20年後も「このキッチンにして本当に良かった」と心から思えるリフォームを実現するためのお手伝いをいたします。
ショールームで実物を見る前に、ぜひ一度、お客様のご要望や現在の悩みをお聞かせください。プロの視点で、比較検討の「軸」を一緒に作らせていただきます。
よくある質問(Q&A)
Q. 結局、リクシル「ノクト」とクリナップ「ステディア」の中級対決、どちらがおすすめですか?
A. 非常にによくいただく、最も悩ましいご質問です。 私たちの実績(特に東京エリア)では、以下のような傾向があります。
- 「ノクト」をおすすめする方:
- LDK全体のインテリア性を最優先される方。
- 「ステンレスキャビネット」の価値(衛生面・耐久性)よりも、「扉デザイン」の価値を重視される方。
- 「ステディア」をおすすめする方:
- 共働きなどで、掃除の手間を極力減らしたい方(特に「洗エールレンジフード」希望の方)。
- デザインも大事だが、それ以上に「カビ」「ニオイ」「耐久性」といった目に見えない部分の安心感を重視される方。
「ステンレスキャビネットが標準かどうか」は、10年後の満足度を左右する、非常に大きな判断基準になります。
Q. キッチン本体の価格以外に、リフォーム費用はどれくらいかかりますか?
A. キッチンのリフォームは「本体価格」+「工事費」+「諸経費」で構成されます。 「工事費」には、既存キッチンの解体・撤去費、給排水・電気・ガス工事、新規キッチンの組立・設置費、壁や床の内装工事費などが含まれます。
例えば、中級グレードのキッチン(本体定価100万円)でも、値引き後の本体価格に加え、これらの工事費で総額としては120万~180万円程度になるのが一般的です。 特に、壁付けキッチンを対面式(アイランド)に変更する場合などは、床や壁の大規模な工事が伴うため、総額が200万円を超えることも珍しくありません。
Q. 東京都在住ですが、キッチンリフォームで使える補助金や助成金はありますか?
A. はい、ございます。 まず、国が行っている「子育てエコホーム支援事業」(※名称や条件は年度により変わります)が代表的です。節湯水栓やビルトイン食洗機、高機能レンジフードの導入が対象となる場合があります。
さらに重要なのが、東京都や、お住まいの区市町村独自の助成金です。 例えば、東京都では独自の「既存住宅における省エネ改修促進事業」などで、高断熱浴槽(お風呂リフォーム)とセットで、節湯水栓(キッチン)も対象になる場合があります。また、お住まいの区(例:世田谷区、練馬区など)が独自にバリアフリー改修やエコリフォームの助成を行っているケースも多いです。
これらの補助金は申請が非常に複雑で、工事前に申請が必要なもの、期限が早いものなど様々です。ご自身で全て調べるのは困難ですので、お早めに私たちのような専門業者にご相談いただくのが確実です。
この記事の執筆者・監修者
刈田 知彰(かりた ともあき) 宅地建物取引士 「水周りリフォーム館」リフォームアドバイザー(ハイウィル株式会社 所属)
不動産業界で16年のキャリアを持つ、住まいのプロフェッショナル。
新築マンション・戸建ての企画販売からキャリアをスタートし、住宅の構造から最新設備、資金計画に至るまで、家づくりのあらゆるノウハウを現場の最前線で学ぶ。その経験から、これからの日本は新築偏重ではなく「中古流通(不動産価値)」と「性能向上リノベーション(建築技術)」を高いレベルで融合させることが、お客様の資産と暮らしを守るスタンダードになると確信。
現在は、大正八年創業の歴史を持つハイウィル株式会社(水周りリフォーム館 運営元)にて、リフォームアドバイザーとして活躍。単なる水回りの交換に留まらず、宅地建物取引士としての不動産知識と、性能向上リノベーションの専門知識を駆使し、「耐震性・断熱性といった“目に見えない価値”」と「デザイン性・機能性といった“目に見える価値”」の両方を最大化する提案を信条とする。
「新築も中古も知り尽くした“中立的な立場”だからこそできる、お客様にとって本当に確かで、安心なご提案をいたします。リフォームで失敗しないためには、不動産と建築、両方の視点を持つパートナー選びが不可欠です。ぜひ、お気軽にご相談ください。」
関連コンテンツ
-
お役立ちコラム洗面所リフォーム
はじめての洗面リフォームで失敗しないために 東京で検討中の方へ|費用相場・工期・追加費用・保証をプロがわかりやすく解説
【この記事の結論:30秒でわかる要点】 洗面リフォームの相場は工……
-
お役立ちコラムキッチンリフォーム
魔法のキッチン動線「毎日1時間損」していませんか?家事が劇的に楽になる性能向上リノベーション
こんにちは。 東京23区で「性能向上リノベーション(耐震・断熱)」を専門に……
-
お役立ちコラムその他リフォーム
築古戸建ての耐震リノベーションで失敗しないために ― 等級3相当の耐震性能と工事期間・仮住まいのリアル
【この記事の結論:30秒でわかる要点】 ✅ 耐震……
-
補助金お役立ちコラム
速報!「住宅省エネ2026キャンペーン」3省連携の全貌|みらいエコ・窓リノベ・給湯省エネを完全攻略
【30秒でわかる】 住宅省エネ2026の結論 202……
































