I型キッチンの特徴やメリット・デメリット!リフォーム費用やレイアウト実例も紹介!
更新日:2023.4.28
キッチンをリフォームする際にはレイアウトをどうするか、そして、スペースをどれくらい確保するかで頭を悩ませるのではないでしょうか。今回ご紹介するI型キッチンは、一般的な広さのアパート・マンションではポピュラーなタイプです。
I型キッチンの特徴やI型キッチンのメリットやデメリット、I型キッチンにリフォームする際の費用などをご紹介します。
<目次>
1.I型キッチンの特徴
2.I型キッチンにするメリット・デメリット
3.I型キッチンへのリフォーム費用相場
4.I型キッチンの代表的なメーカー
5.I型キッチンへのリフォーム方法
6.まとめ
1.I型キッチンの特徴
昭和から平成初期までに建てられた一戸建てやマンションでは当たり前だった壁付きでのI型キッチン。
現在でも一般的なレイアウトであるI型キッチンの特徴とはどのようなものがあるのか、様々な観点からご紹介していきます。
1-1.I型キッチンの間取り
I型キッチンは壁に設置されるケースが一般的であり、料理をする際には壁に向かって料理を行うことになります。目の前に家族などがいる対面キッチンとは真逆です。
その対面キッチンですが、I型キッチンを独立させる形で壁に接することなく設置することが可能です。I型キッチンを対面キッチンとして活用でき、アイランドキッチンのような使い方ができます。I型キッチンはアルファベットのIの形をしているのが特徴なので、それを壁につけるか、独立させるかの違いと言えます。
Ⅱ型キッチンとの違いは、I型キッチンを1列にするか2列にするかの違いであり、より収納を確保するためにⅡ型ではなくI型にすることで背面を収納に特化できます。
1-2.I型キッチンのサイズ
I型キッチンのサイズは、規格寸法が定められており、一番小さいもので165センチ、長いもので300センチにもなります。システムキッチンの場合、工場で作られたものを設置するため、15センチ単位で長さの調整を行います。
奥行きに関しては長さに関係なく、だいたい65センチが一般的ですが、スペース確保の観点から60センチにする場合もあります。これはキッチンとリビングが一体化され、リビングの広さを確保したい時に5センチでも短くすることで広さを確保できるからです。
システムキッチンには標準サイズというものがあり、間口は255センチ、奥行きが65センチ、高さは60センチから90センチです。数センチ程度のわずかなスペースがある場合はフィラーと呼ばれるものを設置することでスペースを隠し、インテリアっぽさを醸し出せます。
一方で、アイランドキッチン的にI型キッチンを設置する場合は長さはだいたい300センチ近くになるケースがあるほか、奥行きを100センチぐらいまでにすることもあります。壁付けで設置をした場合は壁に水や油が跳ねていくのに対し、対面の場合は周囲に水や油がばらまかれる可能性があるため、奥行きを確保することでキッチン内にとどめることができます。
設置場所や状況によってキッチンの長さや奥行きは変化するため、柔軟
なサイズの調整が行えます。
1-3.I型キッチンの収納
I型キッチンでの収納はまずシンクの下の収納が挙げられます。シンクの下はスペースとして確保しやすく、キッチン道具などを置いておくのに最適です。また普段から利用する調味料を置いておくスペースとしてもおすすめで、その際にはポケットを設置してその中に入れておくことですぐに取り出せるようになります。
I型キッチンをアイランドキッチン的に利用する場合は壁に接している部分が背面収納として利用できます。この場合は背面丸々収納として活用できるので、普段使用しないものを背面収納に入れて、シンク下には頻繁に利用するものを収納して使い分けることも可能です。
また、吊戸棚の活用もおすすめです。背面収納と同じで普段利用しないものを入れておくことで、空間を有効に活用していくことができます。
2.I型キッチンにするメリット・デメリット
I型キッチンにすることで生じるメリットやデメリットについて、詳しく解説していきます。
2-1.メリット
I型キッチンのメリットは、部屋全体に占めるスペースが小さい分、部屋を有効活用できる点です。基本的にI型キッチンは壁付けで設置されるため、キッチンが占めるスペースは自然とコンパクトになります。その分、リビングなどのスペースが広々とするため、多少手狭なスペースだったとしても、邪魔せずに済みます。
そして、料理を行う人にとってI型キッチンの場合、一列に動けるため、効率的な動きがしやすいです。1人で料理を行う場合、動くスペースが多いとその分、無駄が生じやすくなります。I型キッチンはコンパクトになっているので、効率よく動けるのが特徴的です。
何と言っても、I型キッチンはキッチンの中でスタンダードなので値段も一番安い部類です。他のキッチンはどうしてもリフォームの際に配管など色々な部分で気を使わなければならず、値段もかかりがちですが、I型キッチンはベーシックなタイプであり、賃貸物件でよく見られる分、値段が高くなる要素は少ないのも大きいでしょう。
2-2.デメリット
一方で、I型キッチンのデメリットとすれば、シンクやコンロなどが横一列に並ぶ分、一列の長さが長すぎると逆にムダが生じるという点です。場合によっては300センチというI型キッチンもあるので、それを1人で切り盛りするとなると相当な横幅となり、反復横跳びのごとく右往左往するような形になってしまいます。
また、複数人で一緒に料理を行うような場面でI型キッチンはあまり向きません。横一列に一斉に並んで作業を行うのは作業効率を考えれば決していいとは言えず、ムダが生じやすいでしょう。そのため、複数人での作業を想定する場合はI型キッチン以外も検討することをおすすめします。
I型キッチンはコミュニケーションがとりにくいという問題もあります。常に壁に向かって料理を行うので、例えばお子さんの様子を見る場合にいちいち振り向かないといけません。テレビを見ながら作業することもできないので、キッチンに立つ人だけが疎外感を感じ、孤独になりやすくなるのもI型キッチンのデメリットです。
またリビングなどから丸見えになる点もデメリットであり、お客さんからキッチンの様子が見えやすいのも考えものです。I型キッチンのメリットもたくさんありますが、I型キッチンのデメリットもそれなりにあります。
3.I型キッチンへのリフォーム費用相場
次にI型キッチンへのリフォーム費用相場についてご紹介します。I型キッチンはベーシックなタイプのキッチンなので、I型キッチン本体だけの交換にとどまれば、100万円以下でリフォームを行うことは可能です。例えば、L型キッチンだったキッチンをI型キッチンにする場合、100万円を大きく切り、70万円程度にとどまったケースもあります。
一番スタンダードなタイプに切り替わり、これまでキッチンだったスペースはクロスの張替えなどを行う程度で済むため、大きな作業は発生しにくく、結果的にリフォームの費用を抑えることが可能です。
間口が長ければ長いほど費用はかかり、15センチ単位でおおよそ2万円ほど変わる場合があります。サイズと設置する設備によって変わるため、費用を抑えるには間口を小さくする、設備をなくすなどの対策も出てくるでしょう。
一方でI型キッチンの位置を変える場合、もしくはI型キッチンの性能を高める場合など、何かしらグレードをアップさせるケースでは100万円にとどめられず、100万円以上の費用がかかってしまうことが考えられます。
特にアイランドキッチンのようなキッチンを独立させるようなリフォームを行うと配管工事なども要し、吊戸棚なども場合によっては必要となるため、100万円を超えます。費用をどれくらいに抑えるかはキッチンに何を求めるかで変わるでしょう。
4.I型キッチンの代表的なメーカー
I型キッチンはシステムキッチンを販売するメーカーであれば基本的に発売しています。その中でも代表的なメーカーをご紹介します。
4-1.TOTO
TOTOのシステムキッチンには「ザ・クラッソ」と「ミッテ」の2つのブランドがあり、値段で比較するとミッテの方がリーズナブルなタイプとなっています。TOTOのシステムキッチンは「すべり台シンク」や「水ほうき水栓」など水回りの部分で強みを発揮しており、トイレやお風呂などとセットでリフォームするケースもあります。
ミッテにも水回りの強みがいかんなく発揮される一方、料理を行う際によく利用するものを収納した「上段フロアキャビネット」や油を一拭きできれいにできるスーパークリーンフードなどを装備しています。ファンのお手入れを10年しなくてもきれいにできるなど、リーズナブルなキッチンでありながら、高性能な部分も満載です。
4-2.LIXIL
LIXILは「リシェルSI」、「ノクト」、「シエラS」などがありますが、いずれのキッチンにも油汚れが付きにくいレンジフード「よごれんフード」や節水タイプでありながらしっかりと汚れを落とせる「ひろびろシャワー」を装備。日常の使い勝手の良さと見た目の美しさを兼ねたキッチンをLIXILは販売しています。
システムキッチンの中で一番リーズナブルなのがシエラS。シンク下を丸々収納とするほか、トレーボートを活用することで収納スペースを無駄にせず、最大限利用しています。アシストポケットで調味料などを分けて収納できるのも特徴的です。またスペースがあれば食器洗い乾燥機を収納させることもできます。
4-3.パナソニック
パナソニックは「Lクラス」や「ラクシーナ」、「リビングステーションVスタイル」があり、この中でリーズナブルなのが「Vクラス」です。ただリーズナブルといっても見た目の美しさがあり、安っぽさを感じさせません。全自動おそうじファンが付いている「ほっとくリーンフード」、水や油を弾いてくれる素材「スゴピカ素材」をふんだんに活用しており、掃除も楽々です。
リビングステーションVスタイルはリフォームを想定し、奥行きが狭いタイプを用意しています。昔のキッチンは60センチが主流であり、今のキッチンの主流である65センチでリフォームを行うと、リフォームをしたのに通路が狭くなるということが起こり得ます。しかし、リビングステーションVスタイルであればキッチンの交換をしても通路幅を狭めずに済むのでおすすめです。
4-4.タカラスタンダード
タカラスタンダードは、耐熱性や汚れ、湿気、サビなどに強いホーローを活用したシステムキッチンを作っています。システムキッチンのブランドも豊富で、「レミュー」や「トレーシア」などがあります。どのシステムキッチンもホーローをふんだんに利用しているため、洗剤を使わずに汚れを落とせるほか、収納力に力を入れ、「デッドスペースゼロ」を謳っています。
システムキッチンのブランドの中ではリーズナブルな部類である「リフィット」は、テレビドラマ「ユニコーンに乗って」など複数のドラマで採用されたことでも知られています。規格は通常15センチ刻みが多い中、リフィットは1センチ刻みで対応しており、最大限にスペースを活用できるのが特徴的です。
5.I型キッチンへのリフォーム事例
ここまでI型キッチンの種類などをご紹介してきましたが、実際のI型キッチンへのリフォーム事例についても触れていきます。
5-1.動線を重視して対面キッチンへ
キッチンの経年劣化が気になっていたというお客様。最初はキッチンを入れ替える予定でしたが、施工業者との話し合いを重ねていく中で間仕切りの部分が邪魔という流れになり、大胆に間仕切りを取り除いて対面キッチンにした方が利便性が高まるということで対面キッチンに変更されました。
間仕切りを取り除いたことで部屋の中の雰囲気がガラッと変わったほか、TOTOのシエラを採用して家族同士のコミュニケーションがとりやすくなっています。配管なども変わっていますが、一戸建てだからこそ自由にリフォームが行えて配管を変えることも可能です。リフォーム費用はお客様の要望で控えられ、工事期間は10日間です。
施工事例はこちら▼▼
※リフォーム金額は当時の金額であり、現在も同じ価格とは限りませんのでご了承ください。
5-2.水回りを一新するためにキッチンリフォーム
蛇口からサビが出てくるという状況になり、水道が使えなかったというお客様。給水管などを一新するにはキッチンを外さないといけなかったため、ならばこの機会にキッチンリフォームを行うという運びになりました。床の張替えなどもこのタイミングで行い、家具の位置を変えるなど、リフォームを契機に模様替えも。水道もしっかりと使えるようになったほか、やりたくてもできなかったという家具の移動も行えたほか、LIXIL「シエラ」を使ったリフォームはカラーがブラウンからイエローに変わったこともあり、今までよりも明るいキッチンに生まれ変わりました。リフォーム費用は税込98万円で、工事期間は5日間です。
施工事例はこちら▼▼
※リフォーム金額は当時の金額であり、現在も同じ価格とは限りませんのでご了承ください。
5-3.孤独を感じるキッチンから対面へ
築年数50年、キッチンもその当時ポピュラーだった壁付きのI型キッチンだったお客様のキッチン。しかし、団らんの中でキッチンに立つと孤独感を感じやすいということで対面キッチンにしてリビングに向いた形にしたいという要望がありました。また、リフォームを機に明るさ、収納がたくさんあるキッチンも熱望されています。
キッチンとして独立していたのがリフォーム前でしたが、家全体をリフォームすることになり、リビングとつなげることに。背面収納を設ける形で対面キッチンを設置しました。個々で用いるのはTOTO「ザ・クラッソ」で、食器洗い乾燥機などもつけ、コンロもIHにするなど、リフォーム前と比べると劇的な変化を遂げています。キッチン部分だけで工事費用は222万円、工事期間は4日間でした。
施工事例はこちら▼▼
※リフォーム金額は当時の金額であり、現在も同じ価格とは限りませんのでご了承ください。
6.まとめ
今回はI型キッチンの特徴やメリット・デメリットなどを中心にご紹介してきました。最近一戸建てを建てたご家庭では対面キッチンなどが一般的な中、少し前に建てられたご家庭だと壁付きのI型キッチンが普通でした。リフォームをきっかけに壁付きから対面へ切り替えるケースも見られ、今後対面キッチンがどんどん増えていく可能性があります。
システムキッチンは各メーカーで進化を遂げ、掃除しやすいこと、収納があることなど似たようなスペックで競い合う一方、ホーローで勝負したり、水回りの強みを活かしたりとそれぞれに個性があります。まずはショールームに足を運び、実際にご自身の目で確かめた上で、複数の業者と相見積もりをとり、納得のいく判断を下していきましょう。
<著者情報>
大谷 正浩
ハイウィル株式会社 本部長
1961年生まれ 東京都北区出身
大学卒業後、原宿のレディスアパレルメーカーに就職。3年目で営業売上げNo.1を獲得。
他業種での営業力を試してみたくなり、東京ガスの関連会社へ転職。建設業界でのキャリアが始まる。
建築を基本から学び、当時の上司の励ましもあり温水暖房システムTESの販売台数において、東京ガス本社営業部長賞を受賞。
その後システムキッチンの専門会社の社長より誘いを受け、初の水まわり業界へ。
システムキッチンの会社で10年の経験ののち、インテリアリフォーム会社の社長からの誘いがあり、リフォームインテリア業界へ。
2003年、ハイウィル株式会社四代目代表である稲葉と出会い、当時稲葉が設立したばかりの株式会社リブウェルに入社。
得意な水周りリフォームと木造リノベーションを担当。
現在はハイウィル株式会社にて性能向上に特化した、日本初の木造フルリノベーション&リノベーションメディア「増改築.com®︎」にて、水周り住宅設備機器や内装仕様の提案を日々行いながら、全国水まわりリフォームサービス「水周りリフォーム館」において、館長として運営を担当。全国の加盟店と共に水周りリフォームの提案、施工管理業務に従事している。
水周りリフォーム館館長として、テレビ朝日、FM東京での出演経験あり。
趣味は、モータースポーツ観戦(元A級ライセンス、40年間無事故)とハードロック鑑賞。仕事に息詰まったら、XJAPNを聞いて気合をいれている。
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