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浴室リフォーム

浴室に床暖房を導入するメリットやリフォーム費用相場を解説!

浴室に床暖房・タイトル画像

更新日:2023.3.27

冬場になると気を付けなければならないのはヒートショック。高齢者が温度差にやられて命を落とすケースが後を絶ちません。この温度差をできるだけ小さくするためにおすすめなのが浴室への床暖房の導入です。

今回は床暖房を浴室に設置するメリットから床暖房の種類や方法、リフォーム事例をご紹介します。

目次
1.床暖房を浴室に設置するメリット
2.浴室床暖房の種類
3.浴室に床暖房を設置する方法
4.床暖房以外に浴室を暖める方法
5.浴室への床暖房設置事例
6.まとめ

 

1.床暖房を浴室に設置するメリット

浴室に床暖房を導入するメリット

床暖房を浴室に設置するメリットはいくつかあります。一つ一つメリットについて深掘りしていきます。

1-1.ヒートショック対策

一つのメリットであるヒートショック対策は、床暖房を設置する最大のメリットであると言えます。ヒートショックは温かい部屋から寒い浴室へ行くことで、血管の収縮と拡張がすぐに起こり、血圧の上下が何回も発生します。この変動が心臓や血管に負担をかけ、脳内出血や心筋梗塞、大動脈解離などを発症してしまいます。誰も異変に気付かず、気が付いたら亡くなっていたというケースもあります。

ヒートショックは10度以上の温度差がある場合に注意が必要で、その温度差になりやすいのが主に冬場。そのため、ヒートショックを防ぐには温度差を防ぐしかなく、事前にシャワーで浴室の床にお湯をかけるなどの対策もありますが、毎回やるのは大変です。もし浴室に床暖房があれば簡単に温めることができ、ヒートショックを防ぐことができます。

浴室で亡くなるケースの多くはヒートショックが原因とされ、特に冬場に亡くなる方が増えやすい傾向にあります。このような不慮の事故を少しでも減らすためにも浴室への床暖房の設置が求められます。

ちなみにヒートショックを防ぐには、お風呂の温度を低めにしておくことやお風呂から出る場合にフラッとしないよう、ゆっくりとお風呂からあがることもポイントになります。65歳以上の高齢者や持病を抱えている方はヒートショックをできるだけ防ぐ入浴法を実践し、日ごろから気を付けていきましょう。

1-2.浴室のカビ防止

浴室といえば掃除などを怠るとすぐにカビが発生するようなイメージを持つ人が多いです。これはお風呂から出た後、浴室全体が濡れており、あまり乾燥が進まないためにカビが繁殖しやすいことが背景にあります。

意外にも冬場が乾燥しにくいと言われており、その理由は気温が低いことで空気中の水分の吸収量が下がるから。ちょっとした温度差で結露が生じるように、なかなか乾燥せず、水分がとどまりやすいことでカビが発生しやすいのです。

冬場でも浴室の中は20度以上となり、湿度も急上昇。確かに季節は冬ですが、お風呂後の浴室は梅雨のような状況となります。カビが増える条件を満たしている以上、冬場だからこそ様々な手を打つ必要があるのです。

床暖房にすることで乾燥が早まり、その分、カビの繁殖を抑えられます。これに加えて換気を徹底するなど、色々な策を講じてカビ防止につなげることができます。

1-3.足元の冷え防止

ヒートショックに通じるものがありますが、裸足で浴室の床に触れると、冷たさを感じる人がほとんどです。特にタイルの場合はダイレクトに冷たさが伝わるので、その冷たさでビクッとしてしまうので、足元の冷えはほとんどメリットがなく、デメリットばかりです。

風呂場が冷えるのは様々な要因があり、窓があることでそこから冷気が入ってくることも原因の1つになっています。そのため、窓のありなしでかなり冷気に違いがあり、窓がないようなお風呂だとそこまで足元の冷えを感じないケースも見られますが、一戸建ての場合は、ほぼすべての家に窓があるため、冬場は特に厳しい冷えを感じやすくなります。

もし床暖房を設置した場合、たとえ冬場であっても冷たい!と感じることは少なくなり、ヒヤッとする不安もなくなります。浴室の床暖房はタイルの場合でもその下に配管などを通せば温かくすることができ、わざわざユニットバスにする必要がないですが、これを機会に変えるのも1つの選択肢です。

 

2.浴室床暖房の種類

浴室床暖房の種類

浴室に設置する床暖房にはいくつかの種類があり、それぞれにメリットや光熱費などがあります。今回ご紹介する2種類の床暖房について掘り下げていきます。

2-1.温水式床暖房

温水式床暖房は、文字通り温水が流れることで床を温めるタイプの床暖房です。床下にはパイプが通っており、給湯器でお湯を沸かし、そのお湯がパイプを通ることで床が温まる仕組みになっています。

大きなメリットは低温やけどの心配があまりないこと。電気式床暖房の場合はどうしても接地面の部分が熱くなりやすく、長時間滞在することで低温やけどになってしまう恐れがありますが、温水の場合は一定の温度以上は上がりにくいので、低温やけどの心配は少ないです。

もう1つ、温水は常に循環しながら用いられるため、余熱で一定時間は温度を保てるのもポイントです。肝心の光熱費ですが、冬場だけ使うことを想定すると、種類によっては異なるものの、1時間動かすことを想定すると年間で2,000円程度、1カ月あたりでは300円程度はかかります。

工事費用ですが、ユニットバスで床暖房を用いる場合はおよそ15~30万円ほど、いわゆる在来工法と呼ばれる浴室の床暖房を導入する場合は20~50万円ほどかかります。機能性によって値段が左右されるため、どの機能を選ぶかもポイントです。

2-2.電気式床暖房

次に電気式床暖房ですが、こちらは電熱線が埋め込まれており、スイッチを入れることで電熱線が稼働して床を温めていくタイプです。スイッチを入れたらすぐに温められるので、適度なタイミングでオンオフを行っていけば問題ありません。

電気式床暖房のメリットは狭い部屋程効果を発揮しやすい点です。温水式床暖房はどちらかといえば、長時間滞在するリビングなど広めのところが向いており、お風呂場の場合、さほど長い時間滞在しないところであれば電気式床暖房でも事足ります。

もう1つのメリットはお金がかかりにくい点で、年間の電気代が300円程度しかかからないケースもあります。温水式床暖房の1カ月分程度の費用で年間の電気代が賄えるのです。設置費用も意外と安く、ユニットバスの床暖房はだいたい10万円から15万円、在来工法の場合は15万円から25万円かかります。

温水式の場合は給湯器など熱源機の設置費用が掛かる分、高くなりやすいですが、電気式はその必要がない分、安く抑えられるというわけです。

 

3.浴室に床暖房を設置する方法

浴室床暖房の設置方法

浴室に床暖房を設置するには、在来工法とユニットバスの2つのパターンがあります。この2つの設置方法についてご紹介します。

3-1.在来工法で設置する場合

在来工法の場合、元々の床や壁に使われていたタイルや石材をそのままにした状態で、床などに熱線を張り巡らせることで床暖房を導入することができます。しかも、この方法でないとダメというのがなく、電機でもガスでも様々な方法で行えるのが特徴的です。

材質によっては適した方法もあるので、できるだけその素材に適した方法で床暖房を行っていくことをおすすめします。

また在来工法の場合は色々と工事が大変なので、工事費用などがかかりやすくなることも。ユニットバスのようにやるべきことが決まっていると、作業の難易度も高くなりにくいですが、在来工法はオリジナルなのでそれぞれやるべきことが異なり、何かと大きな工事になってしまうこともあります。

在来工法からできればユニットバスに変えた上で床暖房を行った方が、ユニットバスの特性も活かせるので在来工法の時よりもうまくいきやすいと考えられます。

3-2.ユニットバスに設置する場合

ユニットバスの場合はすべて規格が存在するため、その規格の中に床暖房などを当てはめていけばいいので、作業はそこまで複雑ではありません。早い話が床だけを外しておいて、そこに床暖房のシステムを導入するような感じでいいのです。

また床暖房を作っているメーカーはユニットバスなども作っているメーカーが多く、いわばユニットバスのオプションとして使えるようになっています。在来工法からユニットバスに変える際などにはそこそこのお金がかかりますが、オプションの分、費用面のめどが立ちやすいのもユニットバスのメリット。工事も床を外して設置する程度のことなので、簡単に済みます。

 

4.床暖房以外に浴室を暖める方法

床暖房以外で浴室を暖める方法

床暖房は確かに優れているものの、まだまだお金がかかるかもしれないので今は我慢したい、寒さをごまかしたい場合に床暖房以外の方法で浴室を暖めることができますので、ご紹介します。

4-1.浴室に断熱材を入れる

暖かい部屋と浴室で温度差が生じるのは、断熱材が足りていない可能性があります。断熱材を入れる場所はいくつかあり、例えば床に断熱材を入れる方法もあれば、基礎から断熱を行う基礎断熱、壁に断熱材を入れる壁断熱があります。これによって、浴室全体を断熱材で固めていくことで熱が逃げにくい状態にすることができます。

断熱材の素材にも気を配る必要があります。普通の部屋で用いられる断熱材は防水性・耐水性に優れているとは言えないため、湿気などがあるエリアで使うのは不向きとされています。下手すれば断熱材そのものが腐るなど本来の断熱材の働きができないことも考えられます。

そんな中で耐水性があり、湿気があるところでも用いることができる断熱材にパイナルフォームがあります。パイナルフォームは寒いところでも長い間断熱材として機能した実績があり、発泡スチロールのような材質なので耐水性もあります。これらの断熱材を使うことで、床暖房を設置しなくても創意工夫で温度差を小さくすることが可能です。

4-2.断熱性能の高いユニットバスに入れ替える

在来工法のまま、断熱性を高めるというのは難しく、どうしてもタイルや石などの影響を受けやすく、ヒヤッとした経験を避けるのは大変です。直接タイルに接しないよう、すのこなどを敷いたとしても、そのすのこ自体が寒さで冷たくなっていたら結局変わりません。そのため、在来工法からユニットバスに切り替えるのが確実です。

最近のユニットバスは壁などに断熱材を入れるなど断熱に気を配り、できるだけ浴槽の温度を下げないようにしています。どのメーカーに関しても浴槽の温度が下がらないよう、浴槽自体が断熱性能の高いものになっており、温かいお風呂に入れるようにという創意工夫がちりばめられています。

また、ユニットバスの床もヒヤッとしないように加工がなされており、ユニットバスに切り替えるだけで十分な効果に期待が持てます。これに加えて床暖房を導入すればより温かくなるとともに、ユニットバスの床を外して床暖房を設置できる手軽さも魅力的です。

 

5.浴室への床暖房設置事例

浴室床暖房の設置事例

実際に浴室に床暖房を設置したご家庭での設置事例、リフォーム事例についてご紹介していきます。

5-1.床暖房で快適なお風呂に

浴室床暖房の設置事例①

出典元:ホームプロ様

築年数が30年以上が経過したお客様のご自宅。今までガスを使っていた中でリフォームを機にオール電化にしようと決意し、和室から洋室へのリフォームなど様々なリフォームが行われる中、力が入ったのが浴室。今までの浴室は窓こそ大きく明るいものの、すのこを敷いて入るようなお風呂で冬になるとヒートショックの危険性も想定されるようなお風呂。リフォームをきっかけにヒートショックを防ぐようなお風呂にチェンジしています。

パナソニックのオフローラを導入し、ユニットバスにするとその下に浴室床暖房を設置。これにより、いつでも温かい浴室と相成りました。これとは別に、「オイルヴェール酸素美泡湯」を採用して細かな泡がたくさん出てくるようなお風呂となったので、より快適性が増しています。ユニットバスにしたことで今までよりも広々としているのもプラス材料です。

肝心の費用ですが、ユニットバスの工事だけでおよそ105万円、家全体の工期はおよそ2ヵ月ほどでした。ちなみに家全体のリフォームの中で一番お金がかかったのがお風呂場となっています。

5-2.在来工法の浴室を解体してリフォーム

浴室床暖房の設置事例②/在来工法からのリフォーム

出典元:ホームプロ様

在来工法で作られていた浴室が寒いと感じていたお客様。暖かい浴室にするために、暖房器の設置や何かしらの断熱対策をしてほしいというのが要望です。築年数は30年以上が経過しており、長年使ってきた汚れもある中でまずは今までの浴室を解体して、ユニットバスの設置を行っています。設置に伴い、窓も二重サッシにしており、窓から熱が逃げていかないようにするなど、断熱性を高めた形です。

浴室床暖房の設置も行い、今までと比べて劇的に暖かくなった浴室。壁も汚れが付着しにくい鏡面仕上げにしたことで、掃除もしやすく、快適な浴室になっています。また壁の色にもこだわりがあり、オレンジっぽい色を活用することで視覚的にも温かみを感じられるようになっており、様々な配慮が行われています。工事費用はおよそ150万円、工期はおよそ10日間です。

5-3.寒さ対策を万全にしたお風呂

浴室床暖房の設置事例③

出典元:ホームプロ様

お風呂が寒い状態から何とかしたいと考えているお客様。これまでのお客様の家のお風呂はタイル貼りだったので、冬場はヒヤッとするような体験を多く経験したことでしょう。このお客様の家も築年数は30年以上経過し、ヒートショックを防ぐためにもリフォームを行いたいという気持ちが伝わります。寒さを防ぐには在来工法からユニットバスに切り替えた方が、暖房性を高められると提案し、ユニットバスに切り替わります。

ユニットバスには浴室床暖房が設置できるほか、浴室暖房乾燥機がつけられ、しかもユニットバスの断熱性も相まってしっかりと熱を浴室内にとどめられるようになっています。築30年以上というのもあり、浴室の床が若干腐食していたため、その補修を行う中、脱衣所などにも暖房機を設置し、冬場はどこの部屋も常に暖かい環境にして、ヒートショックを防ぎます。工事費用はおよそ145万円、工事期間はおよそ5日間です。

 

6.まとめ

まとめ/予防暖房の仕組み

浴室床暖房は、ユニットバスを活用することでより効果を高められます。パナソニックのように暖房換気乾燥機を設置することでお湯をはるタイミングで温風を送り込むことができ、浴室を温かくできます。

このように各社浴室床暖房に関して様々な工夫がなされているほか、床暖房ではなくてもお湯を床に吹き付けて温かくするといったことも可能です。ヒートショックで年間で多くの人が亡くなる中、少しリフォームを行うだけで悲劇を避けられるのであれば、生活の質が上がることを考えても、一度は検討しておくべき事柄と言えるでしょう。

 

 

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<著者情報>

大谷 正浩

大谷正浩
ハイウィル株式会社 本部長
1961年生まれ 東京都北区出身

 

大学卒業後、原宿のレディスアパレルメーカーに就職。3年目で営業売上げNo.1を獲得。
他業種での営業力を試してみたくなり、東京ガスの関連会社へ転職。建設業界でのキャリアが始まる。
建築を基本から学び、当時の上司の励ましもあり温水暖房システムTESの販売台数において、東京ガス本社営業部長賞を受賞。

その後システムキッチンの専門会社の社長より誘いを受け、初の水まわり業界へ。
システムキッチンの会社で10年の経験ののち、インテリアリフォーム会社の社長からの誘いがあり、リフォームインテリア業界へ。

2003年、ハイウィル株式会社四代目代表である稲葉と出会い、当時稲葉が設立したばかりの株式会社リブウェルに入社。
得意な水周りリフォームと木造リノベーションを担当。
現在はハイウィル株式会社にて性能向上に特化した、日本初の木造フルリノベーション&リノベーションメディア「増改築.com®︎」にて、水周り住宅設備機器や内装仕様の提案を日々行いながら、全国水まわりリフォームサービス「水周りリフォーム館」において、館長として運営を担当。全国の加盟店と共に水周りリフォームの提案、施工管理業務に従事している。
水周りリフォーム館館長として、テレビ朝日、FM東京での出演経験あり。

趣味は、モータースポーツ観戦(元A級ライセンス、40年間無事故)とハードロック鑑賞。仕事に息詰まったら、XJAPNを聞いて気合をいれている。

 

 

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