キッチンの高さはリフォームで変えられる?費用や使いやすい高さを紹介!
更新日:2023.7.13
料理を行う際に必ず利用することになるキッチン。できれば自分の身体にフィットしたものを使いたいのはキッチンに限った話ではありませんが、キッチンの場合は高さの問題が微妙に影響を与えます。ちょっと高い、少し低い、その積み重ねが身体に悪影響を与えることも。
今回はキッチンの高さにスポットを当て、キッチンの高さがどんな影響をもたらすのか、キッチンの高さに関するリフォームを行う際の注意点などをまとめました。
<目次>
1.キッチンの高さが合わないとどうなる?
2.使いやすいキッチンの高さとは?
3.【種類別】キッチンの高さリフォーム費用相場
4.キッチンの高さリフォームを行う際の注意点
5.キッチンの高さリフォームの施工事例
6.まとめ
1.キッチンの高さが合わないとどうなる?
毎日使うことが多いキッチンですが、もし自分の身体とキッチンの高さが合わない場合にはどんなことになってしまうのか、ご紹介します。
1-1.調理がしにくい
仮にキッチンが高いと感じた場合、無駄な力が入りやすくなるため、料理の効率が何かと落ちやすくなります。常に腕に力が入るようなスタイルだと1回の料理でどんどん疲れていきますし、キッチンを使いたくないという気持ちにさせられるため、料理に対する意欲が落ちることもありえるでしょう。
また包丁を利用する際、硬い野菜を切る時に力が入りすぎてうっかり包丁で手を切ってしまうことも考えられます。少しキッチンが高いだけでこれだけの弊害があるのですから、キッチンが低い場合にも同様のことが言えます。高さが合わないだけで料理をするのがストレスになってしまうので、見直しが求められます。
1-2.腰を痛めやすくなる
主にキッチンが低い場合に起こりやすいのが腰痛や肩こりの問題です。キッチンが低い場合は腰をかがめるような形で料理をせざるを得なくなります。しかも、料理中は立ちながら作業を行わないと効率的ではないので、腰をかがめながら立ち続ける形となるため、すぐに腰痛になってしまうでしょう。
そもそも腰痛は、中腰や猫背といったまっすぐな姿勢ではない状態を長く保ち続けた場合に起こります。これは常に筋肉に力が入っているためで強い緊張状態となり、それが腰痛につながるのです。
自然な姿勢を保っていれば、仮に立ち続けていてもそこまで影響はないですが、腰をかがめながら立ち続けるとなると、腰痛を招くだけでなく、元々持病であった場合に症状の悪化につながりかねません。ちなみに肩こりが起こりやすいのは高いキッチンで肩に力が入るようなケースです。
ただでさえキッチンが低いのに、シンクはより下がるため、低すぎる状況で作業をしなくてはならず、さらに腰を痛めつけるような形になります。ですので、シンクの高さも含めて高さの調整をしなければなりません。
2.使いやすいキッチンの高さとは?
キッチンの高さが重要であることは間違いありませんが、では、理想的なキッチンの高さとはどれくらいなのか、計算式なども交えてご紹介していきます。
2-1.キッチンの標準的な高さ
システムキッチンの高さは、「JIS」と呼ばれる日本工業規格によって定められています。JISで定めているのは「ワークトップの高さ」で、ワークトップとはキッチンにおける作業台の高さを指します。
このワークトップの高さが、80センチ、85センチ、90センチ、95センチと設定されています。つまり、全国にあるキッチンのほとんどは80センチから95センチ、5センチ刻みの高さになっていることが言えるのです。その中でも標準的な高さとして普及しているのが85センチです。
85センチの根拠は、JISが規格にする際、女性の平均身長を想定したからと言われています。女性の平均身長はおおよそ157センチとされており、157センチの人にとって理想的な高さは85センチになるのです。
とはいえ、女性全員が157センチ前後ではなく、身長が低い人もいれば高い人もいます。まして、近年は男性も料理をするため、170センチ、180センチの人もいるのですから、キッチンが高い、低いという悩みが出てくるのは当然といえば当然です。
ちなみに、多くのメーカーはJIS規格に従って5センチ刻みで設定していますが、LIXIL「リシェルSI」の場合は80センチと85センチの間に82.5センチ、85センチと90センチの間に87.5センチがあり、2.5センチ刻みのものもあります。より高さにこだわりたい方はリシェルSIの82.5センチ、87.5センチもチェックしてみる価値があるでしょう。
2-2.身長からキッチンの高さを計算する
JISも身長に応じて理想的な高さを決めて規格にしています。このため、身長を計算式に当てはめることで、その人にとっての理想的なキッチンの高さは何センチなのかを調べられます。
その計算式は、「身長÷2+5」です。最初に身長を2で割ってもらい、出た数字に5を足せば理想のキッチンの高さとなります。先ほどの女性の平均身長157センチを例にとると、157÷2は78.5となり、そこに5をプラスします。すると、83.5になり、85センチが理想に近い数字であることがわかります。
同様に計算すると、160センチの方が85センチ、170センチの方が90センチ、180センチの方が95センチです。調理台の高さが10センチも違うのは体感的には相当大きく、このキッチンは少し高い、少し低いと違和感を覚えるのは自然な反応と言えます。
2-3.肘高からキッチンの高さを考える
身長でキッチンの理想の高さを決めていくのが日本であるのに対し、海外は身長とは違うアプローチで理想の高さを決めていきます。それは肘の高さです。料理をする際、腕より下ではなく、肘より下を使って料理を行うため、肘の高さが重要であるというのが海外におけるスタンダードとなっています。
肘の高さから理想的な高さを算出する場合、肘の高さから10センチを引いた数字が理想の高さです。当然個人差がありますが、肘の高さはおおよそ「身長÷2+15」程度とされています。160センチの人であれば95センチが肘の高さとなり、そこから10センチ引いた85センチが理想の高さです。
85センチといえば身長から計算した場合も、160センチの方は85センチが理想の高さとなっていました。つまり、身長から計測しても肘高から計測しても理想の高さはさほど変わらないことを意味します。2つとも計測して理想的な高さを求めるのが確実ですが、どちらを頼ったとしてもさほど大きな影響は与えない可能性が高いです。
3.【種類別】キッチンの高さリフォーム費用相場
次にご紹介するのがキッチンの高さをリフォームで改善する場合の費用相場についてです。キッチン全体、シンク周り、コンロ周り、それぞれの高さ調整で必要とされる費用についてご紹介します。
3-1.キッチン全体の高さ調整
キッチン全体の高さを調整する場合、かかる費用はおおむね20万円前後とされています。キッチン全体の高さだけを調整する場合、今あるシステムキッチンをいったん取り外した上で、今まで低すぎたケースではその場所にかさ上げをする台を設置。この台で高さを調整していきます。かさ上げの台に規格はないので自由に調節することができるため、こだわりをもって高さ調整が行えます。
一方、今まで高すぎた場合は台輪と呼ばれる部分をカットできれば、そこで調整することが可能です。台輪があることで扉と地面の間に隙間を作ることができ、台輪によってキッチンマットの巻き込みや掃除機が直接扉にぶつかる状況をなくせるのです。いわば台輪は縁の下の力持ちですが、泣く泣くこれをカットすることで調節が行えますが、高さを犠牲にして台輪の機能を失うほか、台輪を取り外すことでメーカー保証を受けられない可能性もあります。
またワークトップを高くする場合、今度はレンジフードとの距離感がポイントになります。コンロとレンジフードの距離は消防法や建築基準法で定められており、80センチから100センチの間でないといけません。そのため、キッチンを上げたくても80センチを割ってしまうことになれば別の手を用意するしかなくなります。
それでも、キッチンの取り外し自体はそこまで時間はかからず、キッチンもそのまま活用するので、全体的な費用はかなり抑えられます。いったん腰痛になるとクセになってしまうので長い人生で付き合い続けないといけなくなることを思えば、コストパフォーマンスはいいと言えるでしょう。
一方、この機会にシステムキッチンを一新し、高さを調整する場合はおおむね80万円から150万円ほどかかります。今までのキッチンもある程度経年劣化しており、今後キッチンリフォームも視野に入ってくるのであれば、前もって手を打っておくのも1つの手です。
3-2.シンク周りの高さ調整
次にシンク周りの高さ調整ですが、これはシンクの幅によって若干費用が異なります。目安になるのがおよそ100センチで、100センチを下回れば7万、8万と10万円を切りますが、100センチを超えると13万円程度まで増える計算です。
シンクの高さはワークトップの高さとは若干考え方が異なり、シンクの深さが高さに直結するため、深さを浅くすることで使いやすくなるケースもあれば、その逆もあります。もちろん浅すぎても水はねの可能性が生じるため、理想とされる高さは、まっすぐに立った状態で腕を下ろし、指がシンクの底につくような深さです。
実際にやってみて明らかにシンクの底につかない場合は高さが合っていない可能性が高いため、天板の調整もしくはシンク周りの高さ調整を行っていきましょう。
3-3.コンロ周りの高さ調整
最後にコンロ周りの高さ調整ですが、この機会にガスコンロからIHに切り替えるというような形で調整を行う場合は10万円から30万円程度とされています。交換にかかる費用はコンロの値段と工事費がかかるため、コンロの値段が費用に大きな影響を与える形です。そのためシンプルなものなら10万円を切る値段でも交換は可能です。
またコンロの高さはおおむね22センチでほぼ統一されており、高さ調整をする場合は下に台を置くような形で調整していきます。ちなみに、ビルドインタイプのガスコンロの交換では必ず業者に依頼しなければなりません。これはガス管を外すなどの作業があるため、かなり危険が伴うのが理由です。
最近ではコンロの高さを上げるアイテムもあり、場合によっては自分たちで設置することも可能ですが、できるだけ安全に高さ調整を行いたい場合は業者に任せるのが確実です。
※水周りリフォーム館では、高さ調整のみの工事は行っておりませんのでご注意ください。
4.キッチンの高さリフォームを行なう際の注意点
キッチンの高さに関するリフォームを行う場合にはどのような点に注意をしていけばいいのか、その注意点をご紹介していきます。
4-1.スリッパを履いた想定した高さで考える
キッチンで作業を行う場合、素足もしくは靴下の状態で作業をする人もいますが、油はねや水はねなどで床が濡れていることが多く、不快感を感じながら作業をするのを割けるためにスリッパを履いて作業をする方が少なくありません。
このスリッパは歩きやすさやクッション性なども考慮し、おおむね厚さが数センチほどあるのがほとんどです。スリッパがもたらす数センチの厚みはキッチンの高さを変えていく上で非常に重要な意味を持ちます。先ほど身長を使って理想の高さの計算を行いましたが、身長10センチの違いで理想の高さは数センチ異なっていました。スリッパの高さを考慮しないと、せっかくのリフォームが台無しになる恐れがあるのです。
ショールームでシステムキッチンをチェックする場合、できれば普段使っているスリッパを持参するのがおすすめです。持参することで完成後に違和感を感じる可能性がなくなります。またキッチンマットを敷いている場合もその厚みを事前に計測し、高さに狂いがないようにしておくのがいいでしょう。
ちなみにスリッパやキッチンマットは、万が一高かった場合に少しでも違和感を和らげさせるアイテムにもなります。足場だとバランスを崩す可能性があり、事故の原因になるため、急場をしのぐ際にキッチンマットやスリッパの活用がおすすめです。
4-2.複数人で使用する場合はメインで使用する人の高さにする
ご家族でキッチンを使用する場合、誰の高さに合わせるかというのは大事な要素となりますが、この場合、合わせるべき相手は普段からキッチンを利用する人です。
たまに利用する場合であれば多少違和感はあっても、その時限りとなるので対応はなんとかできますが、普段から利用する人は長い間使っていく中で腰痛などが生じやすくなるため、メインで使用する人に合わせるのが無難です。
5.キッチンの高さリフォームの施工事例
ここから実際にキッチンの高さをリフォームで変えた方たちの施工事例についてご紹介していきます。
5-1.施工事例①使い勝手のいいキッチンへ
4人家族でお住まいのお客様は、普段からお母さまがキッチンを利用しています。そのお母さまの要望は使い勝手がいいキッチンで、かつ、収納がたくさんあるキッチンであること。以前は収納が少なくて散らかることもあったようで、散らからないキッチン、それでいて使いやすいキッチンを求められていました。
この使いやすさには、お母さまが長い時間料理などを行う際に疲れないようにすることも含まれています。お母さまの身長に合わせて天板の高さが決められており、これだけで十分使いやすいキッチンとなりました。加えて収納は、背面にも食器棚を確保し、吊戸棚も配置することで収納を多く確保することに成功。お母さまもこれには大満足です。リフォーム費用はお客様のご要望で非公開となっています。
※価格はリフォーム当時の価格であり、現在も同じ価格とは限りませんのでご了承ください
5-2.施工事例②使用する人の身長に合わせたキッチン
新築時はピカピカだったキッチンも長年使っていく中で自然と劣化していくものです。このケースも同様で、長年の使用で経年劣化が進んだため、リフォームしたいという事例です。リフォーム前のキッチンに対する不満として、面材が剥がれていることに加え、キッチンの高さが挙げられています。
多く使用する奥様の身長が150センチ未満のため、一般的な高さである85センチでも高く感じられ、使い勝手の悪さに拍車がかかることに。これをリフォームによって改善する形となりました。今回用いたシステムキッチンはクリナップ「ステディア」でL型のキッチンです。
リフォームしたことでキッチンなども明るくなり、収納も増えたほか、ショールームで高さなどをチェックしながら決めたために、違和感なくリフォーム後のキッチンを使用できています。工事期間は2日間で、リフォーム費用は税込163万円です。
5-3.施工事例③今使っているキッチンのまま、高さだけ変える
キッチンの交換は100万円、150万円とかかるため、すぐに交換というのはなかなかいきません。今回のケースは普段利用する方の身長が高かったために、キッチンの高さが低すぎるという悩みがありました。キッチンの交換しか想定しておらず、100万、150万という見積書が並ぶ中、キッチンの高さを上げれば十分ではないかと業者から提案を受け、すぐにリフォーム開始。
今のキッチンをいったん撤去した上でキッチンのかさ上げを実施し、およそ10センチ上げてから再びキッチンを設置し、高さだけを上げることに成功しました。元々築2年とあって、キッチンはまだまだきれいなまま。これを交換するのはもったいないので、かさ上げでの対応はお客様にとってもプラスと言えます。工事期間は1日、リフォーム費用も12万円ととてもリーズナブルかつ、使い勝手の大幅向上につながりました。
6.まとめ
女性が利用することを想定し、規格によって定められたため、男性や背の高い女性が利用する際には高さが合わずに使い勝手の悪さを感じるような形になっていました。キッチンの高さを上げるだけのリフォームはリーズナブルに行えるので、築年数が浅い物件でもわざわざキッチンの交換をしないで利便性を高めることが可能です。
また5センチ刻みのキッチンですが、メーカーによっては自由に高さを決められるところもあり、よりこだわって高さ調整をしたい方におすすめです。今まではスリッパやちょっとした踏み台などで調整していた方も、この機会にリフォームをしてみてはいかがでしょうか。
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